リード

Google EIE(Environmental Insights Explorer)は、衛星データとAIで都市・地域単位の温室効果ガス排出量を推定し、地図上で可視化できる無料プラットフォームです。交通・建物・電力など分野別の排出インベントリ作成から太陽光ポテンシャル分析までを一元化し、自治体のサステナビリティ担当者、都市計画コンサル、脱炭素戦略を担う事業会社のESG部門が、合意形成用の根拠データを揃える業務に向いています。

主要機能

  1. 分野別GHG排出量推定:交通(道路セグメント別走行距離ベース)、建物(電力・ガス使用量モデル)の年間CO2排出量を都市単位で算出。従来は外部コンサル委託で数百万円・3〜6ヶ月かかったベースライン調査を、無償・数日で着手可能に。
  2. Solar API連携の屋根ポテンシャル分析:建物ごとの屋根面積・日照時間から太陽光発電の年間発電量と削減CO2量を推定。市内全建物を一括スキャンでき、現地調査型の事業性評価(1棟あたり数時間)を秒単位に短縮。
  3. ツリーキャノピー&ヒートアイランド分析:衛星画像から樹冠被覆率を計測し、緑化計画の優先エリアを地図で抽出。気候適応計画の策定根拠として活用できる。
  4. データエクスポート:CSV/GeoJSONで排出インベントリを書き出し、GISや報告書テンプレートに直接流し込める。

編集部の検証メモ

公開仕様と利用規約を競合(CDP-ICLEI Track、ClearPath、自治体向け排出量計算SaaS)と比較した結果、EIEは「衛星データ+Googleの位置情報モデル」を無償で提供する点で突出しています。有償の脱炭素プラットフォームは年間100〜500万円規模が一般的ですが、EIEは自治体規模を問わず無料で同等の粒度のベースラインを入手可能です。ベースライン調査の外部委託費を300万円、内製化した場合の人件費を月40時間×3ヶ月=120時間と仮定すると、初年度で200万円以上のコスト削減と、レポート提出までのリードタイム短縮(半年→1〜2ヶ月)が見込めます。一方、国内自治体特有の燃料区分や独自集計には未対応のため、環境省様式への変換は手作業が残ります。

想定ユーザー

脱炭素ロードマップを策定中の自治体サステナビリティ部門、都市計画コンサル、ESG情報開示でScope3都市インパクトを算出したい大企業の環境部門に向いています。一方、工場単位の精緻なScope1/2算定や、日本独自の温対法様式での自動出力を求めるユーザーには、専用の国内SaaSとの併用が必要です。