Azure AI Studio Microsoft Foundry完全ガイド

【2026年最新】Azure AI Studio完全ガイド|使い方・料金・Microsoft Foundryへの進化を徹底解説

「Azure AI Studioを使いたいが、名前が何度も変わって今どこにあるのかわからない」——そんな声が多いのも無理はありません。

Azure AI Studioは2024年11月にAzure AI Foundry、さらに2026年1月にはMicrosoft Foundryへと2度のリブランドを経て、今や11,000以上のAIモデルを一元管理できる業界最大級のAI開発プラットフォームに成長しています。

この記事では、Azure AI Studioの現在地から、プロンプトフローの使い方・料金体系・Copilot Studioとの違いまで、2026年最新情報で徹底解説します。

この記事でわかること

  • Azure AI Studio(現Microsoft Foundry)とは何か・名称変更の経緯
  • 無料で始める方法と具体的な料金体系
  • Prompt Flowの使い方とエージェント開発の手順
  • Copilot Studioとどちらを選ぶべきか
  • 日本企業の導入事例(JAL・大和証券・日立)

30秒で結論

  • プラットフォーム利用料は無料。新規Azureアカウントで$200(約3万円)の無料クレジット付き
  • Azure環境でGPT-5・Claude・DeepSeekなど11,000以上のモデルを一元管理できる
  • コードを書かずAIを試したいならPrompt Agent、本格開発ならPrompt Flow + Pythonが最適
  • Copilot Studioはローコード向け、Azure AI Foundryは開発者向けと用途が異なる
  • 2026年はエージェント開発(Foundry Agent Service GA)とMCP対応が最大のアップデート

Azure AI Studioとは?名称変更の歴史を整理する

Azure AI StudioからMicrosoft Foundryへの名称変更の歴史

3つの名前の変遷

2023年11月にMicrosoftが発表した「Azure AI Studio」は、AI開発の統合プラットフォームとして登場しました。その後、2度の大きなリブランドを経ています。

時期 名称 主な変化
2023年11月〜 Azure AI Studio モデル選定・デプロイ中心のプラットフォームとして登場
2024年11月〜 Azure AI Foundry Ignite 2024でリブランド。エージェント機能を強化
2026年1月〜 Microsoft Foundry Ignite 2025でさらにリブランド。Teams連携・MCP対応が追加

現在の正式名称はMicrosoft Foundryです。ただし、Azure PortalのURLや公式ドキュメントには「Azure AI Studio」「Azure AI Foundry」という表記が混在しており、検索すると旧名称の情報も多くヒットします。

混乱しやすいポイントですが、「Azure AI Studio」「Azure AI Foundry」「Microsoft Foundry」はすべて同じプラットフォームを指していると考えて問題ありません。

なぜ今注目されているのか

2026年3月時点で、Microsoft Foundryは11,000以上のAIモデルを提供する業界最大規模のAI開発プラットフォームに成長しています。OpenAIのGPT-5シリーズ、AnthropicのClaude、MetaのLlama 4、DeepSeek、xAIのGrokなど、あらゆるプロバイダーのモデルを1つの画面から比較・デプロイできます。

Gartnerは「2026年末までに、企業アプリの40%にタスク特化型AIエージェントが組み込まれる」と予測しており、その開発基盤として選ばれているのがMicrosoft Foundryです。


Microsoft Foundryの主要機能6選

Microsoft Foundryの主要機能 モデルカタログ エージェント プロンプトフロー

1. モデルカタログ:11,000以上のモデルを一元管理

モデルカタログはMicrosoft Foundryの中核機能です。GPT-5・Claude Opus 4.5・Llama 4・DeepSeek-V3.2・Phi-4など、主要なモデルをフィルタ・比較・デプロイできます。

モデル選択時に「コスト」「精度」「レイテンシ」の3軸で評価できるため、ユースケースに最適なモデルを選びやすいのが特徴です。

2. Foundry Agent Service(GA):本番級のエージェント開発

2025年にGA(一般提供)となったFoundry Agent Serviceでは、メモリ・ツール呼び出し・MCP対応を備えた本番レベルのエージェントを構築できます。

Foundryポータルのエージェント画面から、モデル・命令・ツールを設定するだけで、コードなしでプロトタイプを作成できます。本格実装にはPython/C#のSDKが利用可能です。

3. Prompt Flow:AIワークフローをビジュアルで設計

Prompt Flowは、LLMを使ったワークフローをグラフィカルなDAG(有向非巡回グラフ)形式で構築できる機能です。

Prompt Flowで作れるもの例:

  • RAGパイプライン(自社データ検索+LLM回答)
  • 多段階の分類・要約ワークフロー
  • 感情分析→ルーティング→応答生成のパイプライン

後述するように、Prompt Flowのグラフ設計はローコードですが、本格的な活用にはPythonの知識が必要です。

4. On Your Data(RAG):自社データをノーコードで連携

Azure AI Searchと統合したRAG(検索拡張生成)をノーコードで構築できます。SharePoint・Azure Blob Storage・Cosmos DBなど、すでに企業が持つデータソースを数クリックでLLMと接続できます。

5. 評価・監視機能(GA):本番品質を標準機能で担保

2026年2月にGAとなった評価機能は3つのレイヤーで構成されます。

  • 標準エバリュエーター:一貫性・関連性・グラウンデッドネス・安全性の5軸を自動評価
  • カスタムエバリュエーター:社内ルール・コンプライアンスに合わせた独自評価基準を定義可能
  • 継続評価:本番トラフィックをサンプリングし、品質低下時にAzure Monitorアラートで通知

6. MCP対応:外部ツールと標準プロトコルで連携

2026年の大きなアップデートがMCP(Model Context Protocol)対応です。ToolsタブからAzure AI Search・SharePoint・Microsoft Fabricなどへの接続を一元管理でき、ツール連携の実装コストが大幅に下がりました。


Microsoft Foundryの料金を完全解説

Microsoft Foundry 料金体系 従量課金 無料クレジット

基本料金体系:プラットフォーム自体は無料

Microsoft Foundryのプラットフォーム利用料は0円です。使用するサービス(LLMのトークン数、コンピュートリソース)に応じた従量課金モデルを採用しています。

新規Azureサブスクリプション特典:

  • 初回$200(約30,000円)の無料クレジット付与
  • 12か月間の一部サービス無料枠
  • Always-Free枠(一部サービスは永続無料)

主要モデルの料金比較(2026年4月時点)

モデル 入力(100万トークン) 出力(100万トークン) 主な用途
GPT-4.1 $2.00 $8.00 高度な推論・長文理解
GPT-4.1-mini $0.40 $1.60 コスパ重視・大量APIコール
GPT-4.1-nano $0.10 $0.40 軽量タスク・並列処理
Claude Opus 4.5 $5.00 $25.00 長文処理・高精度分析
DeepSeek-V3.2 $0.28 $0.42 推論タスク・コード生成
Grok 4 $5.50 $27.50 高度な推論・ツール利用

GPT-4.1-nanoはGPT-4.1の約20分の1のコストで利用できます。カスタマーサポートの一次対応にnanoを使い、複雑な案件だけGPT-4.1で処理するような使い分けが、最も効率的なコスト削減になります。

コスト試算例(月間)

ユースケース 規模 概算コスト
社内FAQ RAGボット 月1,000問 × 1,000トークン/問 約$2〜10
ドキュメント要約 月500件 × 5,000トークン/件 約$5〜25
カスタマーサポート 月10,000問(nano使用) 約$4
高精度レポート生成 月100件 × 10,000トークン/件 約$80〜100

Azure AI Studioの始め方・使い方(ステップバイステップ)

STEP 1:Azureアカウントを作成する

まだAzureアカウントをお持ちでない方は、azure.microsoft.comから無料アカウントを作成します。クレジットカードの登録が必要ですが、$200の無料クレジット範囲内なら課金は発生しません。

STEP 2:Microsoft Foundryポータルにアクセスする

https://ai.azure.com

上記URLにアクセスすると、Microsoft Foundryポータル(旧Azure AI Studio)が開きます。Azureアカウントでサインインしてください。

STEP 3:プロジェクトを作成する

  1. 「+ Create project」をクリック
  2. プロジェクト名を入力(例:my-rag-demo
  3. サブスクリプションとリージョンを選択(日本語ユースケースはJapan EastまたはEast US推奨)
  4. 「Create」をクリック

プロジェクト作成には2〜3分かかります。

STEP 4:モデルカタログからモデルをデプロイする

Models + endpoints → + Deploy model → Model catalog

モデルカタログから使いたいモデル(例:GPT-4.1-mini)を選び、「Deploy」をクリックします。デプロイ完了後、エンドポイントURLとAPIキーが発行されます。

STEP 5:プレイグラウンドで動作確認

デプロイ直後にプレイグラウンドが使えます。システムプロンプトを入力し、チャット形式でモデルの動作を確認できます。

# Pythonでのシンプルな呼び出し例
from openai import AzureOpenAI

client = AzureOpenAI(
    api_key="YOUR_API_KEY",
    api_version="2024-10-01-preview",
    azure_endpoint="https://YOUR_RESOURCE.openai.azure.com/"
)

response = client.chat.completions.create(
    model="gpt-4o-mini",  # デプロイメント名
    messages=[
        {"role": "system", "content": "あなたは日本語で回答するAIアシスタントです。"},
        {"role": "user", "content": "AIエージェントとは何ですか?"}
    ]
)
print(response.choices[0].message.content)

STEP 6:Prompt FlowでRAGを構築する(応用)

「Prompt Flow」タブから「+ Create」→「RAG」テンプレートを選択すると、Azure AI Searchと連携したRAGパイプラインのテンプレートが展開されます。

YAMLファイルでフローを定義することも可能です:

# flow.dag.yaml の例(簡略版)
inputs:
  question:
    type: string
outputs:
  answer:
    type: string
    reference: ${generate_answer.output}
nodes:
- name: retrieve_docs
  type: python
  source:
    type: code
    path: retrieve_docs.py
  inputs:
    question: ${inputs.question}
- name: generate_answer
  type: llm
  source:
    type: code
    path: generate_answer.jinja2
  inputs:
    context: ${retrieve_docs.output}
    question: ${inputs.question}
  connection: azure_openai_connection
  api: chat
  model: gpt-4.1-mini

Copilot Studio vs Azure AI Foundry:どちらを選ぶべきか

Copilot Studio vs Azure AI Foundry 比較

Microsoftには似たような名前のAIプラットフォームが並存しており、混乱しがちです。2つの違いを整理します。

根本的な位置づけの違い

項目 Copilot Studio Azure AI Foundry
主なユーザー ビジネスユーザー・市民開発者 エンジニア・AI開発者
開発スタイル ローコード・ドラッグ&ドロップ コードファースト(Python/C#)
料金体系 キャパシティベース(月額固定) トークン従量課金
Microsoft 365連携 深い(DLP・監査ログ自動適用) カスタム実装が必要
モデル選択 Microsoft管理(主にGPT-5系) 11,000以上から自由選択
カスタマイズ性 限定的 非常に高い

Copilot Studioを選ぶべきケース

  • Teams・SharePoint上でAIアシスタントを素早く展開したい
  • エンジニアがいないチームでボットを自作したい
  • Microsoft 365のDLP・コンプライアンスを自動適用したい
  • 予算の予測可能性を重視する(月額固定)

Azure AI Foundryを選ぶべきケース

  • 特定のモデル(Claude・DeepSeekなど)を指定して使いたい
  • RAG・エージェントを精密にカスタマイズしたい
  • 既存アプリへのAI機能組み込みにAPIが必要
  • コスト最適化のためモデル使い分けを細かく制御したい

両者の組み合わせも有効です。Azure AI Foundryで複雑なAI処理を構築し、Copilot Studioでフロントエンドのユーザー体験を作るハイブリッド構成が、エンタープライズでは主流になりつつあります。


日本企業の導入事例3選

JAL:機内でのオフラインSLM活用

日本航空(JAL)は、Microsoft Foundryを活用してオフライン環境での客室乗務員レポート作成を効率化するSLM(小型言語モデル)ソリューションを構築しました。Phi-4のような軽量モデルをオフライン環境でも動作させることで、機内のネットワーク制約下でもAI支援が実現しています。

大和証券:AIオペレーターで問い合わせ対応を自動化

大和証券は「大和証券AIオペレーター」を開発し、金融コンプライアンスに準拠したAI問い合わせ対応を実現。ISO/IEC 42001認証とデータレジデンシー機能が導入決定の重要な要因となりました。

電通総研:AIエージェント構築支援サービス

電通総研は2026年1月よりFoundry Agent Serviceを核としたAIエージェント構築支援サービスの提供を開始。PoCから量産・運用までを一気通貫で支援するサービスで、自社のエンジニアが不足している企業でもパートナー経由で導入を進められる環境を整えています。


よくある質問

Q. Azure AI Studioは無料で使えますか?

プラットフォーム自体の利用料は無料です。新規Azureアカウントには$200(約3万円)の無料クレジットが付与されるため、小規模な検証なら実質無料で始められます。本番運用では使用したトークン数・コンピュートリソースに応じた従量課金が発生します。

Q. Azure AI StudioとAzure AI Foundry、Microsoft Foundryの違いは何ですか?

すべて同じプラットフォームです。Azure AI Studio(2023年〜)→ Azure AI Foundry(2024年11月〜)→ Microsoft Foundry(2026年1月〜)という名称変更を経ています。機能は継続的に強化されており、2026年現在はMicrosoft Foundryが正式名称です。

Q. ChatGPT APIと何が違うのですか?

ChatGPT APIはOpenAI社のAPIを直接使うサービスです。Microsoft FoundryはAzure上でOpenAIモデルを使えるだけでなく、Claude・DeepSeek・Llamaなど他社モデルも同じ環境で利用でき、Azure Active DirectoryのSSO・VNet分離・Microsoft 365との連携など、エンタープライズ向けのセキュリティ・ガバナンス機能が追加されています。

Q. プログラミング知識がなくても使えますか?

基本的なモデル試用やPrompt Agentの作成はノーコードで可能です。ただし、Prompt Flowで本格的なRAGを構築したり、エージェントをカスタマイズしたりするにはPythonの基礎知識が必要です。コードを一切書かない場合はCopilot Studioの方が適しています。

Q. Difyと何が違いますか?

Difyはオープンソースのノーコード/ローコードAI開発プラットフォームで、自己ホストも可能です。Microsoft FoundryはAzureエコシステムと深く統合されており、エンタープライズ向けのコンプライアンス・セキュリティ・スケーラビリティに強みがあります。既にAzureを使っている企業ならFoundryが自然な選択です。

Q. 日本語対応はどうですか?

ポータルのUIは英語が主体ですが、モデル(特にGPT-4.1・Claude・DeepSeek)はいずれも高品質な日本語対応をしています。日本語でのプロンプト設計・チャット・ドキュメント処理は問題なく行えます。リージョンはJapan EastまたはEast USを選ぶと低遅延で使えます。

Q. セキュリティは大丈夫ですか?

Microsoft FoundryはISO/IEC 42001:2023(AI管理システムの国際標準)認証を取得しています。VNet分離・プライベートエンドポイント・Azure Key Vault連携・データレジデンシー設定など、金融・医療・官公庁レベルのセキュリティ要件を満たすための機能が揃っています。自社テナント内でデータ処理が完結するため、情報漏えいリスクも抑えられます。