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介護のAI導入で困ったを解消|記録20分短縮とケアプラン下書きの使い分け (2026年版)
この記事のポイント
- 「介護のAIで困った」の中身はたいてい選択肢の混線。センサーと介護ソフトと汎用AIを分けて考えると一気に片づきます
- 最初に手をつけるのはケース記録の音声入力。転記が消えるだけで、1人1日20〜30分の手戻りが浮く計算になります
- ケアプランの文章生成は叩き台まで。そのまま担当者会議に出すのは危険です
- 利用者の病歴や障害の内容は要配慮個人情報、氏名も個人情報。無料の汎用AIに素で打ち込むのは正直やめたほうがいいです
- 介護ソフトは月5,000〜30,000円が相場。デジタル化・AI導入補助金なら補助率1/2以内、条件次第で2/3以内まで戻ります
「AIで介護を効率化しろ」と言われて調べ始めたものの、転倒検知センサーとケアプラン作成ソフトとChatGPTが同じ検索結果に並んでいる。どれが自分の困りごとに効くのか、さっぱり分からない。
介護AIとは、介護現場の事務作業・見守り・介助を支援するソフトやセンサー、機器の総称です。このうち事業所が最初に手をつけるべきなのは、記録や計画書といった事務作業を減らす事務系AIです。
そこで止まっているなら、答えはひとつです。最初に手をつけるのはケース記録の音声入力。 ここだけで、夜の詰所の景色が変わります。
ケアプランの自動作成でもなければ、AIによるシフト最適化でもありません。書いたものをもう一度パソコンに打ち直す、あの時間を消す。地味ですが、いちばん確実に残業が減ります。
以下、困りごとの型ごとに「どのAIを当てるか」を順番に決めていきます。
「介護でAIに困った」の正体は何か?選択肢が3層に混ざっています

介護のAIは、事務作業を減らすソフト・見守りセンサー・介助機器の3層に分かれます。この3つを同じ土俵で比べると、必ず判断が止まります。
検索が混乱する理由はここです。値段の桁も、導入までの期間も、効く相手も違う。同じ「介護AI」という言葉でくくられているだけ。
3層を並べるとこうなります。
| 層 | 何をするか | 費用感 | 効く相手 |
|---|---|---|---|
| 事務系AI(この記事の範囲) | 記録・計画書・シフト・請求チェック | 月数千円〜3万円 | 残業しているスタッフ全員 |
| 見守り・センサー系 | 転倒検知、離床検知、睡眠計測 | 機器代が数十万円〜 | 夜勤者 |
| ロボット・介助機器 | 移乗支援、入浴支援 | 数十万円〜数百万円 | 腰を痛めている職員 |
つまり、最初の一手として素直なのは事務系です。月数千円で試せて、合わなければ翌月やめられる。センサーや機器はここを片づけてからで間に合います。
では事務系の中身は、何がどう違うのか。
困りごとを7つに分けると、買うものが自動的に決まります

介護の事務系AIは「記録」「計画書」「シフト」「請求チェック」「問い合わせ」「研修」「情報整理」の7つに割れます。この7つを1本でまかなう製品は、2026年8月時点では見当たりません。
なぜ分けるのか。求められる正確さが、カテゴリごとにまるで違うからです。
記録の音声入力は、多少の変換ミスがあっても後で直せば済みます。ケアプランは違う。サービス担当者会議に出す以上、書いてある中身の責任は事業所にあります。同じ基準で選ぶと、どちらかが必ず破綻する。
7カテゴリと優先度を並べます。
| # | カテゴリ | 主な用途 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 記録の音声入力 | ケース記録、申し送り | ★★★ |
| 2 | 請求・加算チェック | 算定漏れ、様式の抜け | ★★★ |
| 3 | 計画書の下書き | ケアプラン、個別支援計画 | ★★☆ |
| 4 | シフト作成支援 | 常勤・非常勤の組み合わせ | ★★☆ |
| 5 | 情報整理 | 通知文・運営規程の読み解き | ★★☆ |
| 6 | 研修・教育 | 新人向けQ&A、手順の確認 | ★☆☆ |
| 7 | 問い合わせ対応 | 家族からの電話、見学予約 | ★☆☆ |
つまり、★★★の2つから入れば投資が回収しやすい。逆に問い合わせボットから始めると体感が薄く、社内で立ち消えになります。
困りごと別・当てるAIの早見表
現場から上がってくる愚痴を、そのままツール選びに翻訳した表です。自分の事業所で聞こえてくる声を探してください。
| 現場の声 | 当てるAI | 月額の目安 |
|---|---|---|
| 記録が終わらなくて20時を回る | 介護記録ソフトの音声入力機能 | 5,000〜30,000円 |
| 加算の算定漏れが後で発覚する | 介護ソフト標準の請求チェック | 記録ソフトに同梱 |
| ケアプランの文章が出てこない | ChatGPT / Claude | 無料〜3,200円 |
| シフト作成に毎月半日かかる | シフト特化のクラウドサービス | 要見積が多い |
| 厚労省の通知文が読み切れない | Gemini / Felo | 無料枠あり |
| 新人が同じ質問を繰り返す | NotebookLM | 無料枠あり |
つまり、新しく固定費が発生するのは上の2〜3行だけ。残りは既存ソフトの機能か、無料枠で足ります。7本まとめて契約すると月の固定費が跳ねるだけで終わります。
ここから、優先度の高い順に理由を掘ります。
なぜ記録の音声入力を最優先にすべきなのか?

記録の音声入力が最優先なのは、削減できる時間が毎日・全スタッフに確実に発生するからです。他のカテゴリは月1回や年数回の作業で、どうしても効果が薄まります。
ざっくり試算します。1人あたり1日20分の転記が消えるとして、常勤20人なら1日400分。月20営業日で8,000分、およそ133時間です。
もちろん全員がぴったり20分減るわけではありません。それでも、月に数万円のソフト代を正当化する材料としては十分な桁になります。
選ぶときの分かれ目は1つだけ。
- 汎用の文字起こしアプリ(無料〜)は、テキストが出るだけで様式には入らない
- 介護記録ソフトの音声入力は、そのまま該当欄に流し込める
ここが決定的です。テキストをコピペして様式に貼り直すなら、手書きの転記と手間があまり変わりません。様式連携があるかどうかが一択の基準です。
介護ソフトの価格帯は幅があります。無料体験の長さも製品次第で、ケアコラボは2カ月、テレッサmobileは最大2カ月と公式に案内しています(2026年8月時点)。契約前に実際の申し送り音声を入れて精度を見るのが確実です。訛りや専門用語の通り方は、カタログでは分かりません。
記録が片づいたら、次に重いのは書類です。
ケアプランの文章が出てこない → 汎用AIは「叩き台まで」と決める
汎用AIは、ケアプランや個別支援計画の下書きづくりでは重宝します。ただし、出てきた文章をそのまま提出するのは論外です。
理由は2つ。事実確認ができないことと、その人らしさが消えることです。
AIはそれっぽい嘘をつきます。専門的にはハルシネーションと呼ばれますが、要は「実際にはない出来事を自然な日本語で書いてしまう」現象。ケアプランでこれが起きると、事故になります。
現実的な使い方はこの形です。
- アセスメントの要点を箇条書きで渡し、長期目標・短期目標の候補を3案出させる
- ケアマネージャーが選び、固有の事情を自分の言葉で足す
- サービス内容の書き分けは、既存のプランを見本として読ませてから書かせる
料金は、ChatGPTのPlusが月3,000円、ClaudeのProが月$20(約3,200円)、GeminiのGoogle AI Proが月2,900円という水準です(2026年8月時点の各社公式料金ページ)。文章のニュアンス重視ならClaude、日本語の資料読み込みならGeminiが素直です。
ただし、ここで最大の注意点が出てきます。利用者の情報をそのまま打ち込んでいいのか。後の章で線を引きます。
シフトと請求チェック — 期待値を上げる場所と下げる場所
シフト作成のAI最適化は、まだ過信しないほうがいいです。一方で請求・加算チェックは、すでに介護ソフトの標準機能として確実に効きます。
シフトが難しいのは、制約が現場の空気でできているからです。「あの2人は同じ夜勤に入れない」「この人は保育園のお迎えがある」。この手の条件は仕様書に書ききれません。
だから現実解はこうなります。
ここまでの整理: 記録の音声入力は「買えば効く」、ケアプランは「使い方次第」、シフトは「まだ人の調整が主役」。この温度差を知らずに全部へ同じ期待をかけると、導入後に落胆します。
請求側は話が別です。加算の算定漏れや様式の記入抜けは、ルールがはっきりしているぶん機械が得意な領域。多くの介護ソフトに最初から入っているので、単体で買う対象ではありません。
すでに介護ソフトを入れている事業所は、自社が使っていない機能を洗い出すのが先です。新しく契約する前に、担当営業へ「うちが使えていない機能はどれか」と聞く。これだけで月額が浮くことがあります。
お金の前に、避けて通れない話を1つ。
利用者の名前をAIに打ち込んでいいのか?(個人情報と要配慮個人情報の線引き)

利用者の病歴や障害の内容は、個人情報保護法でいう要配慮個人情報にあたります。氏名はここには含まれませんが、個人を特定できる個人情報であることに変わりはありません。どちらも、無料の汎用AIへ素のまま打ち込む運用は正直おすすめできません。
理由は単純で、入力した内容が学習に使われる可能性を事業所側で管理しきれないからです。法人向けプランには学習に使わない設定があるものの、無料版の初期設定は製品ごとに違います。
現場で回る線引きは、この3段階です。
- 個人が特定できる情報は入れない(氏名はA様、地名は伏せる)
- 病名や障害名は、必要なら一般的な状態表現に置き換える
- 利用者情報を扱うのは、事業所契約した介護ソフトの中だけにする
つまり、汎用AIは「文章の型を作る道具」、介護ソフトは「利用者データを置く場所」。この住み分けを最初に決めておくと、後から揉めません。
運営規程や重要事項説明書の読み解きに使うぶんには、個人情報が絡まないので気楽です。厚労省の通知文をPDFごと読ませて要点を出すならFelo、社内の手順書を読ませて新人の質問に答えさせるならNotebookLMが向いています。
では、全部でいくらかかるのか。
月いくらかかって、補助金でいくら戻るのか?
介護向けAIの現実的な出費は、介護ソフト月5,000〜30,000円に汎用AI月3,000円前後を足した水準です。そしてクラウド利用料の一部は、補助金で戻せます。
2026年度の枠組みは「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金、正式名は中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金)。介護ソフトも対象になり得ます。以下は公式サイトの2026年8月時点の記載です。
| 枠・類型 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠(1プロセス以上) | 5万円〜150万円未満 | 1/2以内 |
| 通常枠(4プロセス以上) | 150万円〜450万円以下 | 1/2以内 |
| セキュリティ対策推進枠 | 5万円〜150万円 | 1/2以内(小規模事業者は2/3以内) |
つまり、条件が合えば実質負担は半分。加えて通常枠には、最低賃金に関する一定の要件を満たした場合に補助率が2/3以内へ上がる扱いがあります。自社が該当するかは、申請前に支援事業者へ確認するのが確実です。
注意点が2つあります。補助対象はあらかじめ登録されたITツールに限られること。そして枠によって申請できるツールが違うことです。
「気に入ったソフトを選んでから補助金を探す」と、対象外で落ちます。候補を絞る段階で、登録ツールかどうかを先に見る。ここを逆にしないでください。
30日で試すなら、どの順番で何をやればいいのか?
最初の30日でやることは3つだけです。記録ソフトの無料体験、汎用AIの1アカウント契約、そして効果の数え方を決めること。
順番に書きます。
- 1週目: 現状の記録作業を計測する(1人あたり何分かかっているか、5人分でいい)
- 2〜3週目: 介護記録ソフトの無料体験で音声入力を試す。実際の申し送り音声を使う
- 4週目: 同じ5人で再計測し、差分を出す
計測を先にやるのが肝です。ビフォーの数字がないと、導入後に「なんとなく楽になった気がする」で終わります。それでは継続の稟議が通りません。
つまずく事業所には共通点があります。
- 現場に配る前に、管理者が触っていない
- 「使ってみて」とだけ言い、使う場面を指定していない
- 1カ月で成果を求め、慣れる前に打ち切る
音声入力は、話し方に慣れるまで2週間くらいかかります。最初の3日で「うちには合わない」と結論を出すのは早すぎる。ここは我慢どころです。
編集部の評価
公開されている料金と機能情報をもとにした、率直な見立てです。
介護記録ソフトの音声入力: 一択です。 月5,000〜30,000円という価格帯に対して、消える転記時間の桁が明らかに大きい。2カ月級の無料体験を用意している製品もあり、試すコストがほぼゼロなのも大きいです。ここに予算を寄せるのが正解。
汎用AIのケアプラン下書き: 重宝しますが、期待しすぎは禁物。 月3,000円前後で文章の型が出てくるのは破格です。ただし固有の事情を書き込むのは人間の仕事で、そこは短縮できません。短縮できるのは「型を作る」工程だけだと見積もっておくのが安全です。
AIによるシフト自動作成: 現時点では正直イマイチ。 現場の人間関係や家庭事情という制約を機械に渡す手段がまだ弱く、結局は手直しが入ります。ここに数十万円を投じるのは早いです。
問い合わせチャットボット: 微妙。 介護の問い合わせは「うちの母がこういう状態で」から始まるものが多く、定型回答で片づきません。電話は結局、人が出ることになります。
通知文・規程の読み解き: 地味に便利。 制度改定のたびに管理者の時間を食っていた作業が、無料枠で軽くなります。圧倒的な時短ではないものの、費用ゼロなら入れない理由がない。
よくある質問(FAQ)
Q. 小規模のデイサービスでも意味はありますか
あります。むしろ人数が少ないほど、1人あたりの事務負担が重い傾向があります。記録ソフトは月5,000円台から選べる製品もあるので、まず音声入力だけ入れるのが現実的です。
Q. パソコンが苦手な職員でも使えますか
音声入力に限れば、パソコン操作の得意不得意はあまり関係ありません。タブレットに向かって話すだけです。むしろキーボード入力が遅い職員ほど、効果が大きく出ます。
Q. ChatGPTの無料版だけで足りますか
通知文の要約や研修資料づくりなら足ります。ただし長い文書を丸ごと読ませる用途では、無料枠の制限にすぐ当たります。月3,000円前後の有料プランを1アカウントだけ管理者が持つ形が、いちばん無駄がありません。
Q. 利用者の情報を入れずに、ケアプランの下書きはできますか
できます。氏名をA様に置き換え、生活状況を一般的な表現で書けば、目標や支援内容の候補は十分出ます。固有名詞を入れないと精度が落ちる、というのは思い込みです。
Q. 補助金の申請は自分でできますか
申請自体は事業者が行いますが、登録された支援事業者と組む形が前提の枠が多くあります。介護ソフトのベンダーが支援事業者を兼ねていることも多いので、見積もり依頼のときに一緒に聞くのが早いです。
次に読むならこれ
まず1本だけ触るなら、社内の手順書やマニュアルを読ませて質問できるNotebookLMです。無料枠があり、利用者の個人情報を入れずに使えて、新人教育の場面ですぐ効果が出ます。記録ソフトの検討と並行して、今日から試せる1本として。
各ツールの公式サイト(一次情報)
料金・機能・対応範囲は各社公式が一次情報です。本記事は公開時点の検証に基づきますが、最新かつ正確な条件は必ず各公式ページで確認してください。
- ChatGPT — 公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Claude — 公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Gemini — 公式サイト(AI PICKSの詳細)
- NotebookLM — 公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Felo — 公式サイト(AI PICKSの詳細)
