Sakana AI(サカナAI)は、東京に本社を置くAIの研究開発企業です。社名のとおり、魚の群れのように小さなモデルが協力して賢くなる、という自然界の仕組みに学んだ研究で知られています。
ニュースで名前を見かけても、「どんな会社なのか」「何を売っているのか」は意外と知られていません。ここでは、創業者の経歴、資金調達、製品の違い、そして個人や企業がどこから使えるかを、Sakana AIの会社情報などの公式情報をもとに整理します。
Sakana AIとは?会社の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設立 | 2023年 |
| 本社 | 東京 |
| 事業 | AIの研究開発、企業・公共機関向けのAI導入、AI製品の提供 |
| 研究の特徴 | 自然界の「集合知」や「進化」に学んだ手法 |
| 主な取引先 | 日本の大企業、公共部門(会社情報による) |
会社情報では、自社を「Frontier AI R&D company(最先端のAI研究開発企業)」と位置づけています。研究で生まれた技術を、日本の大企業や公共部門向けのAIとして形にし、「日本でAIを使いやすくする」ことを目標に掲げています。
チーム構成は4つで、研究(Research)、企業向けの導入(Applied)、製品(Product)、管理部門(Corporate)に分かれています。Applied(応用)チームは、金融・防衛・インテリジェンスなどの分野で、現場の暗黙知をAIに取り込む仕事をしていると説明されています。
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創業者は誰?3人の経歴
Sakana AIが注目される一番の理由は、創業者の顔ぶれです。
| 名前 | 役職 | 経歴 |
|---|---|---|
| デビッド・ハ(David Ha) | 共同創業者・CEO | Googleの研究者として、東京のGoogle Brainの研究チームを率いた。それ以前はゴールドマン・サックスで金利トレーディングの責任者 |
| 伊藤錬(Ren Ito) | 共同創業者・会長 | 東京大学法学部を出て外務省へ。ニューヨーク州の弁護士資格を持つ。メルカリとStability AIで経営に関わった |
| ライオン・ジョーンズ(Llion Jones) | 共同創業者・CTO | 2017年の論文「Attention Is All You Need」の共著者。ChatGPTなど今のLLMの土台であるTransformerを提案した |
ほかに、「現代AIの父」とも呼ばれるユルゲン・シュミットフーバー氏がChief Scientific Advisor(主席科学顧問)として参加しています。研究の第一線にいた人物と、外交・経営の経験者が組んでいる点が、この会社の特徴です。

どれくらいの規模?資金調達と評価額
2025年11月17日、Sakana AIはシリーズBで200億円(約1億3,500万ドル)を調達したと発表しました。TechCrunchの報道によると、調達後の評価額は26.5億ドルで、日本のAIスタートアップとしては最大級です。
日本の企業から見ると、「日本語や日本の業務に合わせたAIを、国内の会社から買える」という点が大きな意味を持ちます。海外のAIを使うときに気になりやすい、データの扱い・契約・サポートの言語といった壁が低くなるためです。
毎週月曜の朝に、今週のSakana AIのニュースとアップデートを先頭に、AI全体の主なニュースと新しく載ったツールをまとめて届けます。登録特典は「AIツール選定チェックリスト 2026」。
確認メールのボタンを押すと登録が完了します。配信はいつでも解除できます。
どんな製品がある?Fugu・Namazu・Marlinの違い
公式サイトに並ぶ主な製品は次のとおりです。
| 製品 | ひと | 主な |
|---|---|---|
| Sakana Fugu | 複数の有名LLMを束ねて使い分ける1つのモデル | AIチャットボットを作る企業・開発者 |
| Sakana Namazu | 日本語に強いLLM。Web検索とコード実行を内蔵 | API経由で使う開発者・企業 |
| Sakana Marlin | 数時間かけて調べ、戦略レポートを返す調査エージェント | M&Aコンサル、経営企画、シンクタンク |
| Sakana Translate | Namazuを使った日英中の翻訳・校正 | くだけた文から敬語まで書き分けたい人 |
| Sakana Chat | 個人が使えるAIチャット | 一般の利用者 |
Sakana Fugu:複数のAIを束ねる
Fuguは、世界の主要なLLMを状況に応じて組み合わせる「オーケストレーション」のモデルです。公式サイトでは、性能と費用の釣り合いを最適にすること、特定の海外モデルが使えなくなっても動き続けることを強みに挙げています。最高性能の「Fugu Ultra」、サイバーセキュリティに強い「Fugu Cyber」、費用対効果を重視した「Fugu Max」があります。
Sakana Namazu:日本語向けのLLM
Namazuは、オープンモデルのKimi K2.6をもとに、日本語と日本の業務向けに追加学習したモデルです。2026年8月3日からAPIで使えるようになりました。料金は100万トークンあたり入力$0.95・出力$4.00で、月額料金はありません。OpenAIのライブラリと同じ書き方で呼び出せます。詳しくはSakana Namazuの解説にまとめています。
Sakana Marlin:長時間考える調査エージェント
Marlinは、数時間かけて調べものを進め、アナリストが書くような戦略レポートを返すエージェントです。M&Aのコンサルタントや企業の戦略部門、シンクタンク向けとされています。
このほか、社内のデータを動かさずにAIエージェントを動かす基盤「Sakana Aquarium」もあります。こちらはSakana Aquariumの解説で扱っています。
どんな研究で知られている?
製品の土台には、論文として公開された研究があります。会社情報では次のような研究が代表例に挙がっています。
- The AI Scientist:研究のアイデア出しから実験、論文の執筆までをAIに任せる試み
- Darwin Gödel Machine:AIが自分のプログラムを書き換えながら、進化のように改良していく仕組み
- ShinkaEvolve:LLMを使って、アルゴリズムを進化的に改善する手法
- AB-MCTS:複数のLLMに試行錯誤をさせ、答えを探し当てる推論の手法
共通するのは、「巨大な1つのモデルを作る」より「複数のAIを組み合わせ、進化させる」方向を選んでいる点です。Fuguは、この考え方をそのまま製品にしたものです。
個人や企業はどう使える?
使う立場によって、入り口が分かれます。
| 立場 | 入り口 | まずやる |
|---|---|---|
| 個人 | Sakana Chat | ふだんの質問や文章作成でChatGPTと比べてみる |
| 開発者 | Namazu API | API Consoleで登録し、少額で日本語の出力を試す |
| 企業(業務改善) | Fugu・Aquarium | 公式サイトから問い合わせ、個別に相談する |
| 企業(調査・戦略) | Marlin | 公式サイトから問い合わせる |
個人がすぐ試せるのはSakana Chatです。ChatGPTとの違いはSakana ChatとChatGPTの比較、使い方はSakana Chatの解説で詳しく扱っています。
Namazu APIを使う場合は、2つ確認しておきたい点があります。入力は初期設定で学習に使われる設定になっていて、API Consoleでオプトアウトできること。データの処理が日本国内で行われるとは限らないこと。社外秘の情報を流す前に、設定と契約条件を見ておくと安心です。

OpenAIやAnthropicとはどう違う?
| 観点 | Sakana | OpenAI・ |
|---|---|---|
| 本社 | 東京 | 米国 |
| 主な強み | 日本語・日本の業務への適応、複数モデルの組み合わせ | 汎用モデルそのものの性能 |
| 製品の作り方 | 既存のモデルを組み合わせ・追加学習する | 自社で基盤モデルを一から作る |
| 向く使い方 | 日本の企業・公共機関での導入 | 世界中の個人・企業の幅広い用途 |
Sakana AIは、ChatGPTやClaudeと正面から「1つの巨大モデル」で競う会社ではありません。海外の強いモデルも取り込みながら、日本の現場に合わせて使える形にするのが基本の姿勢です。米国側の代表的なAI企業はAnthropicの会社概要でも整理しています。

AI PICKS編集部の判定
Sakana AIは、「日本のAIスタートアップ」の中で研究の実績と資金の規模がそろった数少ない会社です。Transformer論文の共著者が東京で立ち上げたという話題性だけでなく、研究を製品に変える動きが2026年に入って一気に進みました。
個人として触るなら、まずSakana Chatで普段の質問を投げ、ChatGPTと答えを比べるのが手軽です。開発者なら、Namazu APIは月額なしで少額から試せます。企業での導入を考える場合は、Fuguが「特定の海外モデルが止まっても動き続ける」設計になっている点が、他社との分かりやすい違いになります。
よくある質問(FAQ)
Q. Sakana AIは上場していますか?
2026年11月6日時点で、上場は発表されていません。2025年11月にシリーズBの資金調達を発表した非上場のスタートアップです。
Q. 社名の「Sakana」はどういう意味ですか?
日本語の「魚」です。魚の群れのように、小さな存在が集まって賢くふるまう「集合知」の考え方を研究の軸にしていることに由来します。
Q. Sakana AIのモデルは無料で使えますか?
個人向けのSakana Chatは手軽に試せます。Namazu APIは従量課金で、100万トークンあたり入力$0.95・出力$4.00です。最新の条件は公式サイトで確認してください。
Q. 伊藤穰一さんの会社ですか?
違います。共同創業者で会長の伊藤錬(Ren Ito)氏は、外務省出身で、メルカリやStability AIで経営に関わった人物です。
Q. どんな会社が導入していますか?
会社情報では、日本の大企業や公共部門と協力していると説明されています。個別の導入先や契約の内容は、公表されたものを公式サイトやニュースで確認してください。
Q. ChatGPTの代わりに使えますか?
ふだんの質問や文章作成なら、Sakana Chatで代わりになる場面は多くあります。ただし機能の幅や連携先はChatGPTのほうが広いので、両方に同じ質問をして比べてから決めるのがおすすめです。
あわせて読みたい記事
- Sakana Namazuとは?使い方と料金
- Sakana Chatの使い方
- Sakana ChatとChatGPTの比較
- Sakana Aquariumとは
- Anthropicの会社概要
- LLMとは?仕組みと代表的なモデル
あわせて見たいツール・カテゴリ
各ツールの公式サイト(一次情報)
料金・機能・対応範囲は各社公式が一次情報です。本記事は公開時点の検証に基づきますが、最新かつ正確な条件は必ず各公式ページで確認してください。
- Sakana AI:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- ChatGPT:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Claude:公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Gemini:公式サイト(AI PICKSの詳細)

