Microsoft Fabric(マイクロソフト・ファブリック)は、会社のデータを集めて、整えて、分析し、グラフやレポートにするまでを1つのサービスにまとめたものです。Microsoftがクラウドで提供していて、サーバーを用意する必要はありません。
「Power BIと何が違うのか」「料金はいくらか」がわかりにくいサービスでもあります。以下、Microsoft Learnの公式解説とAzureの料金ページをもとに、基本の仕組みから料金、試し方まで順に整理します。
Microsoft Fabricとは?何ができる?
Fabricは、データ分析に必要な道具をひとまとめにしたサービスです。これまで別々に契約・設定していたツールが、同じ画面と同じデータの置き場で使えます。
| 機能 | できる |
|---|---|
| Data Factory | 200以上の接続先からデータを集め、整える |
| Data Engineering | Sparkを使って大量のデータを加工する |
| Data Warehouse | SQLでデータを集計・分析する |
| Data Science | 機械学習のモデルを作る |
| Real-Time Intelligence | IoTのセンサーやログなど、流れてくるデータをその場で分析する |
| Databases | 業務システム向けのデータベースを作る |
| Power BI | グラフやダッシュボードを作って共有する |
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すべての機能は「OneLake」という共通のデータの置き場を使います。Officeのファイルが自動でOneDriveに保存されるのと似たイメージで、データをコピーせずに各機能から同じデータを読めます。AWSのS3やGoogle Cloud Storageなど、外部のデータもコピーせずにつなげられます。
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Power BIとの違いは?
一番多い疑問がこれです。両者の関係は、Power BIはFabricの中の1つの機能というものです。
| 項目 | Power | Microsoft |
|---|---|---|
| 主な役割 | グラフ・ダッシュボードを作って共有する | データ集め・加工・保管・分析・可視化まで全部 |
| 扱う範囲 | 分析の「最後の見せる部分」 | 分析の「最初から最後まで」 |
| 料金の考え方 | ユーザーごとのライセンスが中心 | 容量(計算資源)ごとの課金 |
| 向いている会社 | 既にきれいなデータがあり、見える化したい | データがあちこちに散らばっていて、一か所に集めるところから始めたい |
Excelや業務システムのデータをそのままグラフにするだけなら、Power BIだけで足ります。複数のシステムからデータを集めて整える作業が毎回発生している会社は、Fabricでその手間ごとまとめる価値があります。Power BIのAI機能はPower BIのAI活用ガイドで詳しく扱っています。
料金はいくら?容量(F SKU)の仕組み
Fabricの料金は、ユーザー数ではなく「容量」で決まります。容量はF2からF8192まであり、数字がそのまま計算資源の量(CU:容量ユニット)を表します。
| 容量 | CU | 東日本の |
|---|---|---|
| F2 | 2 | 約307ドル |
| F4 | 4 | 約613ドル |
| F8 | 8 | 約1,226ドル |
| F16 | 16 | 約2,453ドル |
| F64 | 64 | 約9,811ドル |
※Azureの料金API(東日本リージョン)で、1CUあたり1時間0.21ドル(2026年11月6日確認)をもとに計算。米国東部は1CUあたり0.18ドルで、F2は月約263ドルです。
料金を下げる方法は2つあります。
- 予約購入:1年または3年の予約で、従量課金より約41%安くなります
- 止める:従量課金の容量は一時停止でき、止めている間は計算の料金がかかりません(データの保管料は別)
データの保管料はOneLakeで別にかかり、東日本ではよく使うデータ(Hot)が1GBあたり月0.025ドルです。
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60日間の無料試用はどう始める?
Fabricには、60日間無料で試せる試用容量があります。公式の試用ページによると、内容は次のとおりです。
- 容量はF4またはF64相当
- Data Factory・Data Science・Data Engineering・Real-Time・Power BIなど、ほぼすべての機能が使える
- OneLakeに1TBまでデータを置ける
- Copilotは試用容量では使えない
始め方
- Fabricのホーム画面(app.fabric.microsoft.com)を開き、右上のアカウントのアイコンを選ぶ
- 「Start trial(試用を開始)」を選ぶ
- 規約に同意し、試用容量を置くリージョンを選んで開始する
「Start trial」が表示されない場合は、会社の管理者が試用を止めている可能性があります。リージョンは後から変えると手間がかかるため、最初に使う予定の地域を選んでおきましょう。
試用が終わったらどうなる?
60日が過ぎると試用容量は使えなくなります。作ったノートブックやパイプラインは残りますが、有料の容量に割り当てるまで動きません。OneLakeのデータは7日間保管され、その間に有料の容量へ移せば引き継げます。
Copilot in Fabricでできることは?
Fabricには、各機能にCopilot(AIアシスタント)が組み込まれています。
| 使う | Copilotが |
|---|---|
| ノートブック | コードの補完・生成、エラーの原因分析と修正案 |
| Data Factory | データ変換の処理を作る、処理の説明を書く |
| Data Warehouse | 日本語の質問からSQLを作る |
| SQL database | SQLの作成・補完、ドキュメントへの質問 |
| Power BI | レポートの作成、データの要約 |
Copilotは、有料の容量(F2以上)を使っていれば初期設定で有効になっています。使った分は容量のCUから差し引かれる仕組みです。表の中身のデータは、指示しない限りAIに送られないと説明されています。
データ分析にAIを使う方法は、Fabric以外にもあります。手元のCSVやExcelをAIに読ませて分析するなら、Julius AIのような専用ツールやChatGPTのデータ分析機能のほうが手軽です。用途別の比較はAIデータ分析ツールのランキングで見られます。

有料にすると 月2,000クレジットで待たずに作り続けられる(Plus $20/月 (年払いなら$16/月))
どんな会社に向いている?
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| 複数のシステムにデータが散らばっている | データが少なく、Excelで十分まとまる |
| 毎月のデータ集めと加工に時間がかかっている | グラフを作って共有できれば十分 |
| すでにMicrosoft 365やAzureを使っている | 月に数百ドルの固定費をかけられない |
| データ担当者が社内にいる、または育てる予定がある | 誰も管理する人がいない |
最小のF2でも月300ドル前後かかるため、「とりあえず入れる」より、まず60日の試用で自社のデータを1つつないでみるのがおすすめです。どれくらいの容量が必要かは、Microsoftの容量見積もりツールでも目安を出せます。
導入前に確認しておきたいことは?
Fabricは機能が多いぶん、最初の設計で後の手間が大きく変わります。試用を始める前に、次の点を社内で決めておくとスムーズです。
- 最初につなぐデータを1つ決める:売上データ、問い合わせ履歴など、毎月手作業でまとめているものから始める
- リージョン:試用でも有料でも、データを置く地域は後から移すのが大変です。日本の会社なら東日本か西日本が候補になります
- 管理者:容量の管理者と、ワークスペースを作れる人を決めておく
- 費用の上限:従量課金なら使わない時間に止める運用、予約購入なら1年分の予算を確保する
- Power BIのライセンス:レポートを見る人の人数とライセンスの関係を確認する
小さく始めて、効果が見えたらデータの種類と容量を増やしていく。この順番なら、使わない機能に費用を払い続ける失敗を避けられます。
AI PICKS編集部の判定
Microsoft Fabricは、「データ集めから見える化までを、Microsoftの中で完結させたい会社」のための基盤です。Power BIだけでは足りない、データの前処理や保管まで一か所にまとめられる点が強みです。
一方で、料金は容量単位で月数百ドルからかかり、小さな会社や個人には大きすぎることもあります。Copilotは試用容量では使えないので、AI機能まで試したい場合はF2を短期間だけ従量課金で動かし、使わない時間は止める方法が費用を抑えやすい選択です。
よくある質問(FAQ)
Q. Microsoft Fabricは無料で使えますか?
60日間の無料試用があります。試用期間中はほぼすべての機能を使えますが、Copilotは対象外です。試用後は有料の容量が必要です。
Q. Power BI Proを持っていればFabricも使えますか?
Power BIのレポート作成や共有はPower BIのライセンスで使えますが、データの加工や保管などFabricのほかの機能を使うには、Fabricの容量が必要です。
Q. 料金は日本円で払えますか?
Azureの料金は米ドルを基準に計算され、契約の種類や為替レートによって請求額が変わります。正確な金額はAzureの料金計算ツールか販売店で確認してください。
Q. Fabricで使うCopilotは別料金ですか?
別のライセンスは不要で、使った分がFabricの容量から差し引かれます。容量が足りなくなると、ほかの処理にも影響することがあります。
Q. SnowflakeやDatabricksとはどう違いますか?
いずれもデータ分析の基盤ですが、FabricはPower BIやMicrosoft 365との一体感が強みです。すでにMicrosoft製品を多く使っている会社ほど、導入の手間が少なくなります。
Q. 試用期間を延ばすことはできますか?
公式の案内では、延長を希望する場合はMicrosoftの営業担当かAzureの営業チームに問い合わせるよう説明されています。
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