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Vertex AIとは?料金・使い方・AI Studioとの違いを図解で
社内で生成AIを本格的に動かそうとした瞬間、「AI Studioで作った試作、このまま本番に出していいの?」で手が止まる。ここでつまずく人はとても多いです。
答えを先に言います。試作はAI Studio、本番運用はVertex AI。役割が違います。
この記事のポイント
- Vertex AIは、Google Cloudが提供するAI開発・運用の統合基盤。試作から本番まで一気通貫で扱えます
- Model Gardenで200を超えるモデル(Gemini系、Claude、Llamaなど)を同じ場所から呼べるのが最大の強み
- 料金は従量課金。モデルを呼んだ分、学習に使ったノード時間分だけ払う仕組みです
- 個人のお試しならGoogle AI Studioで十分。会社の本番システムに載せるならVertex AI一択
- 管理画面は英語中心。ここは最初の壁になりやすいので、体制づくりで補う前提で
Vertex AIとは何か、ひとことで

Vertex AIとは、Google CloudのAIをまとめて開発・運用できる「フルマネージドの土台」です。フルマネージドとは、サーバーの用意や保守をGoogleが肩代わりしてくれる状態のこと。
やることはシンプル。データを取り込み、モデルを選び、調整し、本番に出して、動きを見張る。この一連の流れを、バラバラのツールを継ぎ足さずに1か所で回せます。
従来だと、モデル構築・学習・デプロイ・監視で別々の仕組みを組み合わせるのが普通でした。そこを1本にまとめたのがVertex AI。ここが出発点です。
対象は2つに分かれます。ひとつは、社内資料を読ませて答えさせるようなアプリを作りたい人。もうひとつは、機械学習モデルを一から育てたいエンジニア。どちらも同じ基盤の上で動きます。
次に、なぜ「試作止まり」から抜け出せるのかを見ていきます。
Google AI StudioとVertex AI、何が違う?

同じGoogleのAIなのに入口が2つある。ここが最初の混乱ポイントです。
ざっくり言えば、AI Studioは「試す場所」、Vertex AIは「載せる場所」。個人が手元でプロンプト(AIへの指示文)を試すならAI Studioが速い。会社のシステムに組み込んで、止まったら困る状態で回すならVertex AIです。
違いを表にまとめます。
| 観点 | Google AI Studio | Vertex AI |
|---|---|---|
| 主な用途 | 試作・個人検証 | 本番運用・チーム開発 |
| SLA(稼働保証) | なし寄り | あり |
| アクセス管理 | 簡易 | IAMで細かく制御 |
| ネットワーク隔離 | 限定的 | VPCなどで制御可 |
| 監視・ログ | 最小限 | 運用向けに充実 |
つまり、止まっても困らないうちはAI Studio、止まると事故になるならVertex AI。この線引きで9割は判断できます。
本番でVertex AIを推す理由は、稼働保証・セキュリティ・スケールのしやすさが段違いだからです。ここは各所の解説でも一致した見方になっています。
判断に迷ったら「顧客や社員が実際に使うか」を基準に。使うなら移行を前提に設計しておくと、後の作り直しが減ります。
Model Gardenで何ができる?

Vertex AIの主役は、実はモデルの品ぞろえです。Model Gardenという場所に、200を超えるモデルが並びます。
ここが効きます。GoogleのGemini系だけでなく、AnthropicのClaudeやMetaのLlamaといった他社モデルも、同じ入口から呼べる。用途ごとにモデルを乗り換えても、基盤を作り直さずに済みます。
たとえば、要約は軽くて速いモデル、複雑な推論は賢いモデル、と使い分ける。この切り替えが1つの基盤の中で完結します。
Metaのモデルの立ち位置を知りたい人は、Meta AIの全体像をまとめた記事を先に読むと、なぜLlama系がここに並ぶのかが腑に落ちます。
モデルが揃うと、次に気になるのは「エージェント」を作れるかどうか。そこへ進みます。
Agent Builderでエージェントは作れる?

作れます。Vertex AIには、AIエージェントを組み立てるAgent Builderと、本番に出して監視するAgent Engineが用意されています。
エージェントとは、指示を受けて自分で手順を考え、社内システムに触れて作業をこなすAIのこと。単なるチャットではなく、実際に動いて結果を出す役割です。
ここでの利点は、構築から本番デプロイ、稼働の見張りまでをVertex AIの中だけで終えられること。外部ツールをつなぎ合わせる手間が減ります。2026年4月時点では、この統合をさらに広げる動きが早期アクセスで進んでいます。
ただし、エージェントは「賢く見えて実は暴走しやすい」領域。権限を絞り、ログを残す設計が前提です。ここを軽く見ると、後で痛い目を見ます。
次は多くの人が一番気にする、お金の話です。
Vertex AIの料金はいくら?
Vertex AIの料金は従量課金です。使った分だけ払う。ここが定額サービスと大きく違うところ。
課金は主に2種類に分かれます。ひとつはモデルを呼んだときの利用料。もうひとつは、モデルを一から学習させるときのノード(計算機)時間の料金です。
代表的な目安を表にします。Lindyの2026年時点の料金レビューでは、カスタム学習ノードが1時間あたり$21.25から、という記載があります。実際の総額は使うモデル・パイプライン・リージョン(地域)で変わります。
| 課金の対象 | 料金の考え方 | 目安 |
|---|---|---|
| モデル利用(生成AI) | 入力・出力の文字量に応じた従量 | モデルごとに単価が異なる |
| カスタム学習ノード | 計算機の稼働時間 | 1時間$21.25〜 |
| 予測・推論 | 呼び出し回数・時間 | 用途で変動 |
つまり「月いくら」ではなく「使った分だけ」。試算しづらい代わりに、使わない月は安く済みます。
生成AIモデルの単価は種類で幅があります。Google公式の料金ページによると、軽量なGemini 2.5 Flash系は、テキストや画像の入力が100万文字あたり$0.30前後から、と案内されています(2026年4月時点)。用途が軽ければ、費用は驚くほど小さく収まることもあります。
コスト管理のコツは、最初に上限アラートを引くこと。従量課金は油断すると膨らみます。ここは静物のように地味ですが、効きます。
無料でどこまで試せる?
いきなり課金は怖い。その気持ちは正しいです。
Google Cloudには新規向けのクレジットがあり、一定額まで無料で試せます。加えて、一部のサービスには常時無料の枠も用意されています。まずはここで感触をつかむのが賢いやり方。
無料枠の使い方は次の3ステップが基本です。
- Google Cloudアカウントを作り、新規クレジットを受け取る
- Vertex AI Studioで、まずGemini系モデルにプロンプトを投げてみる
- 上限アラートを先に設定してから、本番相当の処理を小さく試す
つまり、いきなり作り込まず「小さく試して、当たりをつける」。この順番を守るだけで無駄打ちが減ります。
試して手応えがあったら、次はどんな作業に向くのかを具体で見ていきましょう。
Vertex AI Studioはどう使う?
Vertex AI Studioは、コードを書く前に「AIと対話しながら試す画面」です。プロンプトを投げ、モデルを比べ、調整の当たりをつける場所。
ここが入口になります。いきなりAPI(他のソフトからAIを呼び出す窓口)を叩くのではなく、まずStudioで反応を見る。指示文の書き方ひとつで出力が大きく変わるので、この試行が後の品質を決めます。
Studioで固めた設定を、そのまま本番のAPI呼び出しに引き継げるのも利点。試作と本番の間に段差が少ない設計です。
画像を扱う予定があるなら、生成の考え方は共通点が多いです。AIイラスト作成ツールの選び方や、ローカル生成の定番を比べたComfyUIとStable Diffusionの違いに目を通しておくと、モデル選びの勘所が早くつかめます。
ここまでの整理をはさみます。
ここまでの整理: Vertex AIは「試作から本番までの土台」。Model Gardenでモデルを選び、Studioで試し、Agent Builderで動かし、料金は従量課金。個人検証はAI Studio、本番はVertex AI──この対比が全体の骨格です。
では、どんな会社が導入すべきなのか。向き不向きを整理します。
どんな会社が導入すべき?
向いているのは、生成AIを「試作で終わらせず、業務に組み込む」段階に来た会社です。逆に、個人がたまに触るだけなら、正直オーバースペックになります。
判断軸を表にします。
| 状況 | 向いているか | 理由 |
|---|---|---|
| 顧客向けサービスにAIを載せたい | ◎ | 稼働保証と監視が要る |
| 社内資料を読ませて答えさせたい | ○ | 権限・隔離を細かく制御できる |
| 複数モデルを比べて選びたい | ◎ | Model Gardenで一括管理 |
| 個人でたまに文章を作る | △ | AI Studioで十分 |
つまり、AIが止まったら業務が止まる会社ほど、Vertex AIの価値が出ます。
導入の前に、社内でどのAIツールをどう使っているかを棚卸しすると、投資の判断が固まります。この整理には社内向けAIツールの監査ガイドが役立ちます。
情報収集の効率を上げたい部門なら、まず調査特化のAIから慣れるのも手。Feloの使い方を読むと、生成AIを業務に溶かす感覚がつかめます。
次に、代表的な弱点も正直に挙げておきます。
Vertex AIの弱点と注意点
強い基盤ですが、死角もあります。ここを隠すと後で困るので、正直に書きます。
いちばんの壁は、管理画面が英語中心で、機能が多い分だけ最初はとっつきにくいこと。Google Cloud全体の知識も少し要ります。片手間では回りません。
料金の読みにくさも弱点。従量課金は「使った分だけ」で公平な反面、月初に総額が見えません。上限管理を怠ると、請求で驚くことになります。
もうひとつ、クラウド前提なのでオフラインでは動きません。閉じた環境で完結させたい要件とは相性が悪い。
対策は3つ。専任か準専任の担当を置く。料金アラートを先に引く。小さく試してから広げる。この3点を守れば、多くのつまずきは避けられます。
弱点を踏まえたうえで、他の選択肢と比べたい人向けに、比較の入口をまとめます。
関連する比較・代替を見る
Vertex AIが自社に合うか迷うなら、他の基盤やモデルと並べて考えると輪郭がはっきりします。
- Vertex AIとGoogle AI Studioを比較 — 試作と本番の使い分けを深掘り
- Vertex AIとOpenAI基盤を比較 — モデルの幅と運用面の違い
- Vertex AIとAWS基盤を比較 — マルチモデル運用のしやすさ
- Vertex AIとAzure基盤を比較 — 既存クラウドとの相性
- Vertex AIの代替サービスを見る — 乗り換え候補を一覧で
生成AIツール全体の地図がほしい人は、Google系AIの全体像(Meta AIガイド)と併読すると、各社の立ち位置が立体的に見えてきます。
AI PICKS編集部の判定
正直に言います。個人でAIを触る段階なら、Vertex AIは重すぎます。Google AI Studioで十分。ここに無理に来る必要はありません。
一方で、「試作は動いた、次は本番」というフェーズに立った会社にとっては、Vertex AIは一択に近い存在です。理由は3つ。Model Gardenで200超のモデルを1か所から選べること、稼働保証とアクセス制御が本番水準であること、そしてエージェントの構築から監視までを基盤内で完結できること。この3つが同時に揃う基盤は限られます。
弱点は隠しません。英語中心の管理画面と、月初に総額が読めない従量課金。ここは担当者を置き、料金アラートを先に引く運用でカバーする前提です。逆に言えば、その体制さえ組めば、本番運用の土台として圧倒的に頼れます。
結論。個人はAI Studio、会社の本番はVertex AI。この線引きで選べば、まず外しません。
よくある質問(FAQ)
Q. Vertex AIとGeminiは何が違いますか?
Geminiはモデルそのもの、Vertex AIはそのモデルを動かす土台です。Vertex AIの上でGemini系モデルを呼び出して使う、という関係になります。
Q. Google AI Studioとどちらを使えばいいですか?
個人のお試しや試作ならAI Studio、会社の本番システムに載せるならVertex AIです。稼働保証やアクセス管理が要るかどうかが分かれ目になります。
Q. 料金はいくらかかりますか?
従量課金で、使った分だけ払います。モデルの利用料と、学習に使う計算機の時間料金が主な内訳。カスタム学習ノードは1時間$21.25からという目安があります(2026年時点)。
Q. 無料で試せますか?
試せます。Google Cloudの新規クレジットと、一部サービスの常時無料枠を使えば、費用をかけずに感触をつかめます。まずStudioでモデルに触れるのがおすすめです。
Q. 日本語には対応していますか?
モデルの出力は日本語に対応しています。ただし管理画面は英語が中心で、ここが最初の壁になりやすいです。体制づくりで補う前提で考えてください。
Q. Claudeやほかの会社のモデルも使えますか?
使えます。Model GardenにはGemini系だけでなく、ClaudeやLlamaなど他社モデルも並び、同じ基盤から呼び出せます。用途でモデルを乗り換えても基盤の作り直しは不要です。
Q. エンジニアがいなくても導入できますか?
小さな試作なら可能ですが、本番運用にはGoogle Cloudの知識を持つ担当者が要ります。片手間だと料金管理や権限設計でつまずきやすいので、準専任は確保したいところです。
自社にAIをどう組み込むか全体像から詰めたいなら、次は社内向けAIツールの監査ガイドを読むのがおすすめです。どのツールをどこに置くかが整理でき、Vertex AI導入の判断が一段はっきりします。
