Vertex AIの料金を丸わかり解説|トークン課金と無料枠(2026年版)

Vertex AIの料金を丸わかり解説|トークン課金と無料枠(2026年版)

Vertex AI、名前は聞くけど「で、いくらかかるの?」でつまずいていませんか。料金ページを開くと表がびっしり並んでいて、正直めまいがします。ここではその表を、必要なところだけ日本語のことばにほぐしていきます。

この記事のポイント

  • Vertex AIは、Google Cloudが提供するAI開発のフルマネージド基盤。作って・学習させて・動かすまでを1か所で完結できます
  • 料金は月額固定ではなく従量課金。生成AI(Gemini)は「使った文字の量」で課金され、入力100万トークンで$0.15からが目安です
  • トークン課金のほかに、ストレージ代とデプロイ(動かし続ける)代が別でかかります。ここを見落とすと請求が膨らみます
  • 個人でちょっと試すだけなら、後述するGoogle AI Studioのほうが安上がり。企業の本番運用ならVertex AIが本命です

Vertex AIとは?ざっくり何ができるのか

Vertex AIの料金を丸わかり解説|トークン課金と無料枠(2026年版) 図2

Vertex AI(バーテックスAI)とは、Google Cloud上で提供されるAI開発のフルマネージド基盤です。AIモデルを作る、学習させる、性能を監視する、実際のサービスに組み込んで動かす。この一連の流れを1つの画面でまとめて扱えます。

「フルマネージド」とは、サーバーの用意や面倒な裏側の管理をGoogleが引き受けてくれる、という意味です。開発する人はモデルとデータに集中できます。

扱えるモデルは150を超えると案内されています。Googleの生成AI「Gemini」もこの上で動きます。自社データを読ませて回答させる仕組みや、AIエージェントを組む機能まで、部品がひととおり揃っている。ここが個人向けチャットサービスとの大きな違いです。

つまりVertex AIは「AIチャットを使う場所」ではなく、「AIを組み込んだ製品を作る工場」に近いもの。だから料金の考え方も、月額サブスクとはまるで違います。


Vertex AIの料金はどういう仕組み?

Vertex AIの料金を丸わかり解説|トークン課金と無料枠(2026年版) 図3

Vertex AIの料金は、月いくらの固定制ではありません。使った分だけ支払う従量課金です。請求は大きく3つの箱に分かれます。

料金の全体像を、まず箱で押さえておきましょう。

料金の箱何にかかるかイメージ
生成AI(トークン)課金Geminiなどに文章を投げて答えを得るたび使った文字の量で加算
ストレージ課金データやモデルを置いておく容量倉庫のレンタル代
サービング(デプロイ)課金モデルを動かし続ける時間サーバーの稼働時間代

つまり「AIに聞いた回数」だけでなく、「置いている量」と「動かしている時間」でもお金が発生します。個人利用の感覚だと最初のトークン代しか意識しませんが、本番運用ではストレージとサービングがじわじわ効いてくる。ここが落とし穴です。

次から、この3つを1つずつ具体的な数字で見ていきます。


生成AI(Gemini)の料金はいくら?

Vertex AIの料金を丸わかり解説|トークン課金と無料枠(2026年版) 図4

Vertex AI上でGeminiを使うときは、やり取りした「トークン」の量で課金されます。トークンとは、AIが扱う文字のかたまりのこと。入力(こちらが送る指示文)と出力(AIが返す文章)で、それぞれ単価が決まっています。

例として案内されている単価がこちらです。

区分単価(目安)
入力100万トークンあたり$0.15
出力100万トークンあたり$0.60

出力のほうが4倍高い。ここは覚えておくと効きます。AIに長々と喋らせるほど請求が伸びる、という意味だからです。

100万トークンと言われてもピンと来ませんよね。日本語だと、ざっくり数十万文字ぶんに相当します。ちょっとした問い合わせ対応なら、1回のやり取りはごく少額。だから初期の検証段階では、驚くほど安く感じるはずです。

ただし単価はモデルによって変わります。高性能な上位モデルほど1トークンが高い。安いモデルと高いモデルを用途で使い分けるのが、コスト設計の基本になります。

ここまでの整理: Vertex AIの料金は「トークン(使った量)+ストレージ(置いた量)+サービング(動かした時間)」の3階建て。まずはトークン単価、次にストレージとデプロイ、と順に見ていくと迷いません。


画像・自然言語など、生成AIの課金単位

Vertex AIの料金を丸わかり解説|トークン課金と無料枠(2026年版) 図5

Geminiのようなトークン課金とは別に、Vertex AIには文字数ベースで課金される生成機能もあります。Google Cloudの料金案内では、入力1,000文字(指示文)と出力1,000文字(返答)ごとに課金される、と説明されています。

このとき数える文字は、空白を除いた実質の文字数です。細かいですが、請求根拠として頭の隅に置いておくといいでしょう。

生成AIの課金単位を整理すると、こうなります。

機能タイプ課金の数え方
Gemini(トークン型)入力・出力のトークン量
一部の生成機能(文字型)入力1,000文字・出力1,000文字ごと
画像・音声生成数や処理量に応じて

さらに、プレビュー(試験提供)段階の機能は料金が割り引かれる、あるいは実質無料になる場合があります。新機能を安く触れるのはこのタイミング。ただし正式版になると通常課金へ切り替わるので、そのまま本番に乗せるときは要注意です。

ここまでが「AIを呼ぶ」ときの費用。続いて、AIを「置いておく・動かす」費用に移ります。


ストレージとデプロイの料金は?

見落とされがちなのが、この2つ。AIに何もさせていない間でも、データを置いているだけ、動かせる状態にしているだけでお金がかかります。

案内されている単価を並べます。

項目単価
オフラインストレージ$0.023 / GB・月
オンラインストレージ$0.25 / GB・月
オンラインサービング$0.94 / 1ノード・時間

注目はオンラインサービングです。1ノードを1時間動かして$0.94。これを24時間365日つけっぱなしにすると、単純計算で月$700近くに達します。

ここが個人利用と本番運用の分かれ目。「常時待機させる」構成にした瞬間、トークン代とは桁の違う固定費が乗ってきます。逆に言えば、リクエストが来たときだけ動かす設計にできれば、コストは大きく圧縮できる。

AIカスタマーサポートのような常時応答が必要な仕組みを組むなら、この待機コストの設計が肝になります。実装イメージをつかみたい人は、先にAIカスタマーサポートツールのまとめに目を通しておくと、Vertex AIで自作するか既製ツールを使うかの判断が早くなります。


Vertex AIとGoogle AI Studioの料金、何が違う?

ここは混乱する人が本当に多いところ。同じGeminiを使えるのに、入り口が2つあります。

  • Google AI Studio: 個人・小規模向け。手軽に試せて、無料枠も比較的ゆるい
  • Vertex AI: 企業・本番向け。Google Cloudの権限管理やセキュリティ、監視とセットで使える

同じモデルでも、Vertex AI経由のほうが割高に感じるという声があります。理由は単純で、Vertex AIは「エンタープライズ向けの土台」ごと使う料金だからです。単価だけ比べれば高く見えても、権限管理・監査・スケール対応といった企業に必須の機能が付いてきます。

観点Google AI StudioVertex AI
主な用途試作・個人利用本番・企業利用
料金感安い・手軽従量+基盤コスト
権限/監査最小限Google Cloud準拠で充実
スケール小規模向き大規模に強い

判断はシンプルです。ひとりでプロトタイプを作るだけならGoogle AI Studioで十分。会社の製品に組み込み、権限やログをきちんと管理したいならVertex AI。この線引きで迷いはほぼ消えます。

両者をもう少し細かく突き合わせたい場合は、Vertex AIとGoogle AI Studioの比較で単価と機能を並べて確認できます。


無料枠や無料トライアルはある?

あります。Google Cloudの新規アカウントには、はじめに使える無料クレジットが用意されています(一般的な案内では$300相当・期間限定)。この範囲でVertex AIを試すことができます。

加えて、前述したプレビュー段階の機能は料金が割り引かれることがあります。新しいモデルや機能を、正式課金の前に安く触れるチャンス。検証はこのタイミングを狙うのが賢いやり方です。

ただし無料クレジットには期限があります。うっかり期限を過ぎたり、常時稼働の構成を残したままにすると、いつの間にか課金が始まっている。無料枠で試すときこそ、後片付けまでを1セットで考えておきましょう。

無料で始められるとはいえ、油断は禁物。ここが従量課金サービス共通の注意点です。


料金を抑える現実的なコツ

Vertex AIのコストは、設計しだいで大きく変わります。ムダを削るポイントを4つに絞りました。

  • モデルを用途で使い分ける — 全部を上位モデルに投げない。軽い処理は安いモデルへ
  • 出力を短くする — 出力単価は入力の数倍。返答の長さを制御するだけで効く
  • 常時稼働を避ける — サービングのつけっぱなしが一番の出費源。必要なときだけ動かす
  • プレビュー機能を検証に使う — 割引が効くうちに試して、本番投入の判断を固める

特に効くのは3つ目です。トークン代を1円単位で削るより、待機コストの設計を見直すほうが、はるかに大きな金額が動きます。

コスト管理には、Google Cloudの予算アラートも合わせて設定しておくと安心。しきい値を超えたら通知が飛ぶので、請求書を見て青ざめる事故を防げます。

節約の勘どころが分かったところで、次は「そもそも自分に向いているか」を考えます。


どんな人・企業に向いている?

Vertex AIは、はっきり言って万人向けではありません。向き・不向きが分かれるサービスです。

向いているのは、Google Cloudをすでに使っている企業、AIを自社製品に本格的に組み込みたい開発チーム、権限管理やセキュリティ要件が厳しい組織。この層には圧倒的に強い。

逆に、「AIチャットをちょっと使いたいだけ」の個人には過剰です。その場合はChatGPTやGeminiのアプリを月額で契約するほうが、安くて簡単。わざわざクラウド基盤を触る必要はありません。

こんな人おすすめ
個人でAIチャットを使いたいチャットアプリの月額プラン
試作・プロトタイプを作りたいGoogle AI Studio
製品にAIを本番組み込みしたいVertex AI
既製の業務ツールが欲しい専用SaaS(下記)

自社開発ではなく、出来合いの仕組みで十分なケースも多いはず。たとえば問い合わせ対応なら、AIカスタマーサービスツールの選び方を先に見ておくと、「作る」と「買う」のどちらが得か判断しやすくなります。


他のAIプラットフォームとどう違う?

AI開発基盤はGoogleだけではありません。主要な選択肢を、ざっくり性格で比べます。

プラットフォーム立ち位置
Vertex AI(Google)Gemini中心。Google Cloudユーザーに最適
Azure OpenAI(Microsoft)GPT系中心。Microsoft基盤と好相性
Amazon Bedrock(AWS)複数モデルを横断。AWSユーザー向け

料金はどれも従量課金で、単純な単価比較にはあまり意味がありません。決め手になるのは「今どのクラウドを使っているか」。既存のクラウドと同じ陣営を選ぶと、権限管理や請求が一本化できて運用が楽になります。

逆に、ここを無視して単価だけで選ぶと、後の連携で苦労しがち。プラットフォーム選びは、価格表より「地続きかどうか」で決めるのが正解です。

具体的な突き合わせは、Vertex AIとAzure OpenAIの比較Vertex AIとAmazon Bedrockの比較で確認できます。


導入前に確認しておきたいこと

契約前のチェックリストを置いておきます。ここを詰めておくと、想定外の請求をかなり防げます。

  • どのモデルを使うか(単価が違う)
  • 常時稼働が必要か(サービス設計の分岐点)
  • どれくらいのデータを置くか(ストレージ代)
  • 無料クレジットの期限
  • 予算アラートの設定

料金・制限・性能などの数字は更新が早い分野です。実際に契約する前には、Google Cloud公式の料金ページで最新の単価を必ず確認してください。この記事の数字は2026年7月時点の目安として使ってください。

準備が整ったら、下の関連リンクで他サービスとの相性も見ておくと選定が固まります。


関連する比較・代替を見る


よくある質問(FAQ)

Q. Vertex AIは月額いくらですか?

月額固定ではありません。使った分だけ払う従量課金です。生成AI(Gemini)は入力100万トークンで$0.15からが目安。これにストレージ代とデプロイ代が加わります。使い方しだいで数百円にも数十万円にもなります。

Q. 個人でも使えますか?

使えます。ただし個人がAIチャットを使いたいだけなら、設定が重すぎます。手軽さ重視ならGoogle AI Studioやチャットアプリの月額プランのほうが向いています。

Q. Google AI StudioとVertex AI、どっちが安いですか?

同じGeminiでも、単価だけならAI Studio経由のほうが手軽で安く感じられます。Vertex AIは企業向けの権限管理やセキュリティ込みの料金。試作はAI Studio、本番はVertex AI、が基本の使い分けです。

Q. 無料で試せますか?

Google Cloudの新規アカウントには無料クレジット(一般的な案内で$300相当・期間限定)が付きます。この範囲で試せます。プレビュー機能は割引が効くこともあります。

Q. 一番お金がかかるのはどこですか?

多くの場合、モデルを常時動かし続ける「サービング(デプロイ)」費用です。1ノード1時間$0.94を24時間つけっぱなしにすると月数百ドル。リクエスト時だけ動かす設計にすると大きく節約できます。

Q. 日本語に対応していますか?

対応しています。管理画面やドキュメントの一部は日本語で、Geminiは日本語の入出力も扱えます。

Q. トークンって何ですか?

AIが扱う文字のかたまりのことです。こちらが送る指示文が「入力トークン」、AIが返す文章が「出力トークン」。それぞれ単価が違い、出力のほうが高く設定されています。


AI PICKS編集部の判定

Vertex AIは、個人が気軽に触るサービスではありません。ここは正直にお伝えします。料金表が複雑で、常時稼働の待機コストという地雷もある。「安くAIチャットを使いたい」目的なら、正直イマイチ。オーバースペックです。

一方で、企業がAIを自社製品に本格的に組み込むなら話は別。権限管理・監査・スケール対応がGoogle Cloudごと手に入る点は、他にない強みです。すでにGoogle Cloudを使っている組織にとっては、ほぼ一択と言っていい。

料金で失敗しないコツは1つ。トークン単価の安さに惑わされず、「常時動かす部分」の設計に集中することです。ここさえ締めれば、費用は驚くほどコントロールできます。試すなら、まず無料クレジットの範囲でGoogle AI Studioから入り、本番化のタイミングでVertex AIへ移すのが堅実。段階を踏めば、ムダ打ちは避けられます。

次に読むならこれ

作るより買うほうが早いケースも多いです。問い合わせ対応をAI化したいなら、AIカスタマーサービスツールの選び方を先に読むと、Vertex AIで自作すべきか既製ツールで足りるかの判断がぐっと速くなります。

各ツールの公式サイト(一次情報)

料金・機能・対応範囲は各社公式が一次情報です。本記事は公開時点の検証に基づきますが、最新かつ正確な条件は必ず各公式ページで確認してください。