Azure Portalの使い方|画面操作は0円・VM無料枠750時間の落とし穴 (2026年版)

Azure Portalの使い方|画面操作は0円・VM無料枠750時間の落とし穴 (2026年版)

無料アカウントを作ったはいいけれど、ログインボタンを押す指が止まっている。開いた瞬間にメーターが回り出す気がして怖い。その心配は不要です。画面を開くのは0円。財布が動くのは、その画面で「何かを作った」あとだけです。

Azure Portal(アジュール・ポータル)とは、Microsoftのクラウドサービス「Azure」をブラウザから操作する管理画面のことです。サーバーを借りる、データベースを立てる、請求額を確認する。この全部がマウス操作で完結します。

この記事のポイント

  • Azure Portalの画面利用とログインは0円。課金対象は画面で作った仮想マシンやストレージなど「動かしたもの」だけです
  • 無料アカウントには30日間有効の$200相当クレジットが付き、対象のバースト可能仮想マシン(B2pts v2 / B2ats v2)は登録から12か月間、毎月750時間まで無料です(2026年8月時点の公式情報)
  • 750時間は1台を1か月動かしっぱなしにできる量。2台同時に立てると約15日で枠が尽きます。ここが最大の落とし穴
  • 高額請求を止める決め手は「リージョン固定・使い終わったら削除・予算アラート事前設定」の3点セットです
  • 無料期間が終わっても自動で有料課金には移りません。自分で従量課金プランへ切り替えるまでリソースは止まります

Azure Portalとは、借りているものが全部見える1枚の窓

Azure Portalは、Azureの契約状況とリソースをブラウザ1枚で操作する管理画面です。コマンドを一切打たずに、サーバーの作成から請求確認までできます。

クラウドの実体は遠いデータセンターにあります。手元には箱もケーブルも届きません。だからこそ「いま何を借りていて、いくら積み上がっているか」を見る窓が必要になります。

Azure Portalのダッシュボード画面のイメージ

アクセス先は portal.azure.com の1か所だけ。Microsoftアカウントか、会社で配られたMicrosoft Entra ID(旧Azure AD、社員用のログインアカウント)でサインインします。専用ソフトのインストールは不要です。

似た入口が3つあるので、最初に整理しておきます。

入口何をする場所かこんな人向け
Azure Portalブラウザで全サービスを操作する管理画面初心者・全員
Azure CLI黒い画面にコマンドを打って操作する同じ作業を繰り返す人
Azure PowerShellWindows寄りのコマンドで操作するWindows運用の担当者

つまり、迷ったらポータル一択です。CLIやPowerShellは「同じ作業を100回やる」段階になってから覚えれば間に合います。

画面の見た目は地図アプリに近い感覚です。左に目次、中央に地図、右上に検索。黒い画面が苦手でも詰まりません。

なお、AIモデルを扱う画面は別入口になります。そちらの操作はAzure AI Studioの項目と、Azure AI Studioの使い方にまとめています。

では、その窓から実際に何ができるのでしょうか。


Azure Portalでできること|最初に触るのはこの4つだけ

Azure Portalの使い方|画面操作は0円・VM無料枠750時間の落とし穴 (2026年版) 図3

ポータルには200を超えるサービスが並びますが、最初に使うのは「作る・見る・払う・任せる」の4機能だけです。

  • リソースを作る — 仮想マシン、データベース、Webアプリを画面から新規作成する
  • 状態を監視する — 動いているサービスのエラーや負荷をダッシュボードで眺める
  • 料金を確認する — 今月いくら積み上がったかを見て、予算とアラートを設定する
  • 権限を配る — 誰がどのリソースをどこまで触れるかを決める

残りの機能は、必要になった日に検索窓へ名前を打ち込めば出てきます。先に覚える必要はありません。

初心者が混乱しやすいのは、サービス名を見ても「これは自分で管理するのか、Microsoftが面倒を見るのか」が分からない点です。種別つきで並べます。

サービス名種別できること
Virtual Machines(仮想マシン)IaaSクラウド上のレンタルPC。OSごと自由に使える
Azure App ServicePaaSWebアプリやAPIを、土台の管理なしで公開できる
Azure SQL DatabasePaaSサーバー保守なしで、データを表の形で管理できる
Azure Functionsサーバーレス必要なときだけ動く小さなプログラムの置き場

つまり、IaaSは「OSごと借りて自分で守る形」、PaaSは「土台をMicrosoftに任せてアプリ作りに集中する形」です。学習目的なら仮想マシン、Webサイトを公開したいだけならApp Serviceが最短ルートになります。

ここまで分かったら、いちばん気になるお金の話に入れます。


Azure Portalの利用料金は?|画面は0円、動かしたリソースだけが従量課金

Azure Portalの使い方|画面操作は0円・VM無料枠750時間の落とし穴 (2026年版) 図4

言い切ります。Azure Portalの画面利用料は0円です。ログインして眺めるだけ、設定画面を開くだけなら1円も動きません。

課金が始まるのは、画面で作ったリソースが動き出した瞬間から。使った分をあとから払う従量課金です。

対象料金
ポータルの画面利用・ログイン無料
画面で作った仮想マシン従量課金(起動している時間分)
ストレージ・データベース従量課金(容量と読み書き量に応じる)
停止したが削除していない仮想マシンディスク代の課金が続く

つまり、蛇口を眺めるのはタダ。水を出した分だけ請求されます。表の4行目が事故の入り口です。

仮想マシンを「停止」しただけでは、ディスク(データを置く保存領域)とパブリックIPアドレスの料金が残ります。財布を完全に閉じたいなら、停止ではなく削除。ここは何度でも言います。

もうひとつ、初心者がつまずくのがリージョン(データセンターの地域)です。同じ仮想マシンでも、東日本と米国東部では単価が違います。米国リージョンのほうが安いことは多いのですが、日本から使うと通信の往復に時間がかかって体感が遅くなります。

こうした「止めたつもりで残る料金」はクラウドに限りません。同じ構図の見落としはAIツールの隠れコストでも整理しています。

ここまでの整理: ポータルは無料の窓。課金されるのは「作ったもの」だけで、停止では止まりきらない。単価はリージョンで変わる。この3つを押さえたら、次は無料枠の中身です。


無料アカウントでどこまで試せる?|$200クレジットと月750時間の練習枠

Azureの無料アカウントは3層構造です。ここを混ぜて理解すると、必ず請求で驚きます。

2026年8月時点の公式情報では、初回登録で30日間有効の$200相当クレジット、12か月間の人気サービス無料枠、期限なしの常時無料枠。この3つは別物です。

枠の種類期間中身
クレジット登録から30日間$200相当。対象を選ばず幅広く試せる
12か月無料登録から1年人気サービスの一部が上限つきで無料
常時無料期限なし小さな枠が継続して無料

つまり最初の30日がいちばん自由に動ける期間で、そこを過ぎると使える範囲は一気に狭まります。学習計画を立てるなら、重い検証は最初の1か月に寄せるのが得策です。

目玉は12か月無料に含まれる仮想マシン枠です。対象はバースト可能なBシリーズの特定サイズ(B2pts v2 / B2ats v2)で、LinuxとWindowsそれぞれ毎月750時間まで無料になります。

この「750時間」の読み方が、初心者がいちばん誤解するところ。


750時間の落とし穴|1台なら丸1か月、2台なら15日で枠切れ

750時間は「1台を1か月間つけっぱなしにできる量」です。台数が増えれば、その分だけ枠は早く溶けます。

1か月は最大で744時間(31日×24時間)。だから1台なら月末まで動かしても無料の範囲に収まります。ここが設計の妙です。

起動している台数無料枠が尽きるまでの目安
1台を24時間約31日(枠内に収まる)
2台を24時間約15日
3台を24時間約10日
1台を1日8時間3か月以上もつ計算

つまり「無料枠があるから」と検証用に3台立てると、月の3分の1で枠が切れて残り20日は普通に課金されます。請求が来て初めて気づく典型パターン。

しかもLinuxとWindowsは枠が別勘定です。Linuxで750時間、Windowsで750時間。片方を使い切っても、もう片方は残っています。

対策はシンプルです。

  • 検証が終わったら、その日のうちに削除する
  • 常時起動が要らないなら、夜間は停止(割り当て解除)する
  • 対象サイズ(B2pts v2 / B2ats v2)以外を選んでいないか、作成画面で必ず確認する
  • 台数を増やす前に、コスト管理画面で今月の消費時間を見る

対象サイズ以外を選ぶと、無料枠は1秒も効きません。作成画面で「無料」と表示されるかどうかが唯一の判断材料です。

無料枠を超えた分がいくらになるかを先に読みたいなら、AIのコスト削減とROI試算の考え方がそのまま使えます。

削除の話が出たところで、実際に仮想マシンを作る手順を追いましょう。


Azure Portalで仮想マシンを作る手順|画面の流れを7ステップで

仮想マシンの作成は、検索窓から入って7画面で終わります。迷いやすいのは「リソースグループ」と「サイズ」の2か所だけです。

Azure Portalで仮想マシンを作成する画面の流れ

  1. ポータル上部の検索窓に「Virtual Machines」と入力して開く
  2. 「作成」から「Azure仮想マシン」を選ぶ
  3. リソースグループを新規作成する(例: rg-study-01
  4. 仮想マシン名とリージョンを決める(東日本 = Japan East)
  5. イメージ(OS)とサイズを選ぶ。無料枠を使うなら対象のBシリーズを指定
  6. 管理者アカウントと接続方法(SSHキーまたはパスワード)を設定
  7. 「確認および作成」で見積もり月額を確認してから作成

7番目の見積もり表示を必ず読んでください。ここに月額が出ます。無料枠対象なら$0に近い数字が並ぶはずです。金額が想定より大きければ、サイズかリージョンの選択を間違えています。

リソースグループは「関連リソースをまとめる箱」です。この箱を消せば中身も一緒に消えます。学習用は必ず専用の箱を作ること。あとで削除するのが劇的に楽になります。

立てた仮想マシンの上で開発をするなら、手元のエディタ側の道具立ても効いてきます。選び方はAIコーディングツールのカテゴリにまとめています。

作ったら、次は消し方と請求の止め方です。


高額請求を防ぐ3点セット|予算アラート・削除・リージョン固定

請求事故を止める仕組みは、リソースを作る前に仕込むのが正解です。作ったあとに慌てて設定しても、すでにメーターは回っています。

Azureのコスト管理画面(Cost Management + Billing)から予算とアラートを設定できます。設定は3分で終わります。

対策具体的にやること効き目
予算アラートコスト管理で月$10などの予算を作り、50%/80%/100%でメール通知気づく前に膨らむのを防ぐ
リソースグループごと削除検証が終わったら箱ごと削除する消し残しゼロ
リージョン固定作るときは常に同じリージョンを選ぶ単価のブレと迷子を防ぐ

つまり、通知で気づき、箱ごと消し、単価を揃える。この3点で個人利用の事故はほぼ潰せます。

ただし注意点がひとつ。予算アラートは「知らせるだけ」で、自動でリソースを止めてはくれません。通知が来たら自分で削除する必要があります。ここを勘違いすると、メールを見逃したぶんだけ請求が伸びます。

自動で止めたいなら、Azure Automationで停止スケジュールを組むか、そもそも無料アカウントのまま従量課金へ切り替えないのが確実です。

無料アカウントは、30日または$200を使い切った時点でリソースが停止します。自分で「従量課金プランにアップグレード」を押すまで、勝手に有料へは移りません。ここは初心者に優しい設計です。

料金以外にも、最初に触っておくべき設定があります。


最初にやるべき初期設定4つ|言語・タグ・お気に入り・多要素認証

ポータルは初期状態のままでも使えますが、4つだけ先に触っておくと後の作業が軽くなります。

  • 表示言語を日本語にする — 右上の歯車から言語とタイムゾーンを設定。タイムゾーンは日本標準時に
  • お気に入りを整理する — 左メニューでよく使うサービスに星をつけ、検索の手間を減らす
  • タグを付ける習慣をつける — リソースに env: study などを付けると、請求の内訳が用途別に読める
  • 多要素認証を有効にする — 乗っ取られると請求が青天井。ここは最優先

多要素認証(ログイン時にスマホ確認を挟む仕組み)は、クラウドで唯一「絶対に飛ばすな」と言い切れる設定です。アカウントを奪われた場合、犯人は高性能な仮想マシンを大量に立てます。その請求は契約者に届きます。

アカウントとデータの守り方をまとめて確認したいなら、AIのセキュリティとプライバシーも先に読んでおくと判断が早くなります。

タグは地味に便利です。個人利用でも project: 学習project: 仕事 を分けておくと、コスト分析画面で内訳が一目で読めます。

セキュリティの話が出たので、権限まわりも押さえておきます。


チームで使うときの権限設計|所有者を配らない

複数人で使うなら、全員に「所有者」を配るのは危険です。Azureは役割ベースのアクセス制御(RBAC)で、人ごとに触れる範囲を絞れます。

役割できること向いている人
所有者全操作+権限の付与契約管理者1〜2人だけ
共同作成者リソースの作成・削除(権限付与は不可)開発担当
閲覧者見るだけ上長・経理
コスト管理閲覧者請求データだけ見られる経理・管理部門

つまり、作る人には共同作成者、見るだけの人には閲覧者。所有者は最小限に絞るのが基本形です。

権限はリソースグループ単位でも付けられます。「このプロジェクトの箱だけ触れる」という配り方ができるので、部署をまたぐ場合はこの粒度が扱いやすいです。

社内展開まで見据えるなら、監視や監査に使える道具はAIセキュリティのカテゴリにまとまっています。

クラウド全般のコスト設計を体系的に押さえたいなら、AIツールの料金比較のように用途別で並べた記事を先に読むと、判断軸が揃って選びやすくなります。

ここまでの内容を、よくある疑問の形で確認しておきましょう。


よくある質問(FAQ)

Q. Azure Portalにログインするだけで料金はかかりますか?

かかりません。0円です。ポータルの画面利用、設定確認、請求額の閲覧はすべて無料です。課金対象は画面で作成した仮想マシンやストレージなどのリソースだけです。

Q. 無料アカウントの期間が終わると、勝手に有料になりますか?

なりません。30日または$200のクレジットを使い切った時点でリソースは停止し、自分で従量課金プランへアップグレードしない限り請求は発生しません。この点はAzureの安心な設計です。

Q. 仮想マシンを停止すれば料金は完全に止まりますか?

止まりきりません。停止(割り当て解除)でコンピューティング料金は止まりますが、ディスクとパブリックIPアドレスの料金は残ります。完全に止めたいならリソースグループごと削除してください。

Q. 750時間の無料枠は複数台でも使えますか?

台数分だけ早く消費されます。2台を24時間動かすと約15日で枠が尽きます。LinuxとWindowsは別枠なので、それぞれ750時間ずつ使えます。

Q. 個人と会社のアカウントは分けるべきですか?

分けるべきです。会社の契約はMicrosoft Entra IDで管理され、退職や異動で権限整理が必要になります。学習用は個人のMicrosoftアカウントで別に作るほうが、あとで揉めません。


編集部の評価|入口としては破格、ただし削除の習慣は必須

Azure Portalは、クラウド初心者の入口として破格です。画面利用が0円で、$200クレジットと12か月の仮想マシン無料枠が付き、無料期間が切れても勝手に有料化しない。この3点そろいは正直かなり親切な設計です。

一方で、正直イマイチな点もあります。画面の情報量が多く、サービス名から中身が想像しにくいこと。「Azure Container Apps」と「Azure App Service」の違いを初見で判断するのは無理があります。検索窓に頼る前提の設計です。

そして最大の注意点は、停止と削除の違いが初心者に伝わりにくい構造。停止ボタンを押した安心感で放置すると、ディスク代が静かに積み上がります。予算アラートを最初に仕込むのが一択の対策です。

総じて、学習用途なら迷わず触っていい環境です。ただし「リソースグループを専用に作って、終わったら箱ごと削除する」。この習慣だけは初日から徹底してください。

同じMicrosoft圏の日常業務ツールが気になるなら、Microsoft 365 Copilotの項目もあわせて確認できます。

クラウドの学習と並行してAIツールの活用も進めたいなら、生成AIツールの選び方を読んでおくと、どの作業をクラウドに載せるかの判断が早くなります。


次に読むならこれ

クラウドで何を動かすか決まっていないなら、AIツールのカテゴリ一覧から先に眺めるのがおすすめです。Azureの仮想マシン上で動かす価値がある処理と、既存のSaaSで足りる処理の線引きがはっきりして、無駄な検証時間を減らせます。

業務でAIを載せる前提なら、Azure OpenAIとBedrockの比較で、どちらのクラウドに寄せるかの判断材料も揃えておくと迷いません。