Sakana AIの発表内容

Sakana AIは、推薦の質と切り口の多様性を高める手法「QD-Rec」を開発しました。技術の論文とプログラムのソースコードを公開しています。

「QD-Rec」は、選ぶ対象と選ぶ理由を書いた仮説をセットで扱います。生成AIが過去の優れた仮説を参考にしながら、新しい仮説を作る手順を繰り返します。全体で1位を決めるのではなく、内容が似ている既存の仮説との比較を繰り返す仕組みです。これにより、異なる切り口の提案を残していきます。

M&A (企業の合併や買収) や顧客ターゲティング、論文推薦の実験を行いました。過去の仮説を参考にせず毎回ゼロから生成する手法と比べて、多くの設定で平均評価が高く、規模も大きい推薦の集まりを作れました。

候補の一覧だけでなく、選ぶ理由や事業の可能性まで比較できるようになります。複数の戦略や観点から候補を絞り込みたい場面で役立ちます。

つまり、どういうこと?

たとえるなら、優秀な企画スタッフが過去のボツ案や成功案のメモを読み込み、別の会社向けにアレンジして新しい提案書を次々と作ってくれる仕組みです。

これまでの推薦AIは「点数の高い順に並べるだけ」になりがちでした。「QD-Rec」は、なぜそれを選ぶのかという理由と、別の切り口の提案を同時に育ててくれます。似た提案同士だけを競わせるため、個性の違うアイデアが消えずに残ります。

編集部の見方

失敗した提案の着眼点を別の企業へ移植する発想には、なるほどと唸らされました。航空会社の買収提案で出た決済や融資のアイデアを、旅行予約サイトの提案に転用する実験結果はかなり具体的です。

発想の転換。

スコア上位の会社を機械的に並べるだけの推薦ツールは、実際の事業戦略では役に立ちにくい印象があります。今後は業務向けのAI分析ツールに、こうした多様性を残す探索手法が組み込まれていくはずです。まずは公開されたコードを基に、各社の社内データを使った検証ツールがいつ登場するかを注視したいところです。

誰に関係するか

企業の買収先や営業先の選定に悩んでいる人は、単なる順位だけでなく具体的な根拠や異なる切り口の提案を比較できるようになります。