Moveworksとは

Moveworksは、情報システム部門と人事部門に寄せられる繰り返し型の社内問い合わせを、AIエージェントが自動で解決するエンタープライズ向けプラットフォームです。「パスワードをリセットしたい」「有給残日数を知りたい」「VPNに接続できない」といった日常的な依頼を、SlackやMicrosoft Teams上の自然言語対話だけで完結させます。2025年にServiceNowが約28.5億ドルで買収を発表したことでも注目を集め、エンタープライズAIエージェント領域の代表格として位置づけられています。

主要機能

会話型AIエージェント:従業員がSlack/Teamsで質問すると、社内ナレッジと連携システムを横断して回答します。従来はチケット起票から担当者対応まで平均1〜2日かかっていた一次対応が、数秒から数十秒に短縮されます。

自動アクション実行:パスワードリセット、ソフトウェアライセンス付与、グループ追加などを、Okta・Azure ADなどのID管理基盤や、ServiceNow・JiraといったITSMと連携して実処理まで完了させます。ヘルプデスクの介在が不要になる点が特徴です。

エンタープライズ検索:社内Wiki、Confluence、SharePoint、Google Driveに分散したドキュメントを横串で検索し、回答を要約します。情報を探す時間を平均15〜20分から1分未満に圧縮できる構造です。

AIエージェントビルダー:経費承認や入社オンボーディングなど業務固有のワークフローを、ノーコードで自動化エージェント化できます。

編集部の検証メモ

公開されている第三者レビューによれば、Moveworksの実勢価格は従業員1名あたり年間$100〜$200(おおむね月1,200〜2,400円/人)の個別見積で、最低契約規模も大きいため、SMB向けではありません。WorkativやServiceNow Virtual Agentと公開仕様で比較すると、Moveworksの強みは事前学習済みの社内向けLLMと、統合アクションの実装深度にあり、導入後のチューニング工数が小さい点が差別化要素です。ROI試算では、ヘルプデスク1名あたり月100件の問い合わせを30%自動解決できれば、年間およそ400〜600時間の工数削減に相当し、人件費換算で1人あたり200〜400万円規模のインパクトが見込まれます。一方、初期導入には2〜4ヶ月のPoCを要するケースが多く、IT部門の伴走リソースを確保できる組織でないと費用対効果は出にくい構成です。

想定ユーザー

従業員1,000名以上で、ヘルプデスクへの問い合わせが月数千件規模に達し、SlackまたはTeamsが全社で定着しているエンタープライズに向きます。逆に、従業員数百名以下の中小企業、社内ナレッジがドキュメント化されていない組織、UIの日本語ローカライズを最優先する企業には、より軽量なWorkativや国産チャットボットの方が現実的な選択肢です。