BrowseCompとは?1,266問のAI探索力テストとスコアの読み方 (2026年版)

BrowseCompとは?1,266問のAI探索力テストとスコアの読み方 (2026年版)

この記事のポイント BrowseCompは、AIが「ネットのどこかに1つだけある答え」を探し当てられるかを測る、OpenAI発のベンチマークです。問題数は1,266問。答えは短いのに、たどり着くには数十〜数百ページを渡り歩く必要があります。 2026年7月時点の公開集計では上位モデルが90%前後に達し、上位3つの差は1.4ポイント以内。飽和が近い物差しです。 ただしスコアが高い=あなたの調べ物が速くなる、ではありません。読み替え方をここで押さえてください。

AIに「これ調べておいて」と頼んで、それっぽいけど微妙にズレた答えが返ってきた経験。たぶんありますよね。その「探す力」だけを切り出して点数にしたのがBrowseCompです。

BrowseCompとは、AIエージェントがインターネット上の見つけにくい情報を特定できるかどうかを測る、1,266問の評価セットです。OpenAIが公開しました。ポイントは、知識量ではなく「粘り強く探せるか」を見ている点にあります。


BrowseCompが測っているのは知識ではなく「探索の粘り」

BrowseCompとは?1,266問のAI探索力テストとスコアの読み方 (2026年版) 図2

このベンチマークが評価するのは、モデルが覚えている事実の量ではありません。ヒントの断片から検索を組み立て、外れを引いても方針を変えて掘り直す一連の動きです。

たとえば「1990年代に開催されたある学会で、特定の条件を満たす発表をした研究者の名前」のような問い。答えは数単語で済みます。けれど、その数単語に行き着くまでに、学会の記録、参加者リスト、当時の論文、関連する別の資料を横断する必要があります。

記憶から引き出せる問題ではありません。ここが従来型テストとの決定的な違い。

覚えている情報を吐き出すタイプの試験と、この手の探索型試験では、得意なモデルがはっきり分かれます。だからこそ、AIエージェント選びの参考値として注目されているわけです。


なぜOpenAIはSimpleQAを捨てて新しい物差しを作ったのか?

BrowseCompとは?1,266問のAI探索力テストとスコアの読み方 (2026年版) 図3

理由は単純で、既存の物差しが簡単になりすぎたからです。

従来よく使われていたSimpleQAは、単純な事実検索が中心の評価でした。「〇〇の首都は?」に近い、一問一答型。最新世代のモデルにとっては易しすぎて、点数が上に張り付いてしまいます。全員が満点近くを取るテストでは、モデル同士の差が見えません。

物差しとして壊れた状態。

そこでOpenAIは、正解率が低く出るように設計された問題群を用意しました。それがBrowseCompです。難易度を上げるだけでなく、「難しいのに採点はブレない」構造を作ったところが効いています。

観点従来型の事実検索テストBrowseComp
問われるもの記憶している事実探し当てる過程
必要な閲覧数0〜数ページ数十〜数百ページ
答えの形短い短い
最新モデルの正答率高止まりしやすい差が出やすい
ブラウジング機能ほぼ不要事実上必須

つまり、答えの形は同じでも、そこに至る道のりの長さがまったく違います。


問題はどうやって作られている?

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BrowseCompの問題は、逆向きに作られています。先に答えを決めて、そこから「簡単には見つからないような問い方」を組み立てる方式です。

出題者はまず、はっきり特定できる対象を1つ選びます。人物、論文、イベント、製品。次に、その対象を指し示す手がかりを複数集め、どれか1つだけでは特定できない形に散らします。検索窓にそのまま打ち込んでも上位に出てこないように、条件を絡めていくわけです。

結果として生まれるのが「検証の非対称性」。

答え合わせは一瞬で終わります。正解は短い文字列なので、合っているかどうかは機械的に判定できる。一方で、その文字列を見つける作業には膨大な手数がかかる。この非対称性が、採点の信頼性と難易度の高さを同時に成立させています。

  • 答えを先に決めてから問いを設計する
  • 手がかりを複数に分割し、単独では特定できなくする
  • 検索一発でヒットしない語の組み合わせを選ぶ
  • 正解は短く、判定はブレない形式にそろえる

この作り方は、画像生成の評価が「主観で割れやすい」のと対照的です。評価軸が定まらない領域の難しさについては、AIイラストツールの比較記事で触れた品質のばらつきの話が参考になります。正解が1つに決まる探索課題は、その点で採点がずっと楽なわけです。


スコアはどこまで伸びた?

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伸び方は、正直かなり急です。

OpenAIがGPT-5.5を発表した際の公式資料には、BrowseCompのスコアが並んでいます。そこで示された数値は次のとおりです。

モデルBrowseComp
GPT-5.5 Pro90.1%
GPT-5.4 Pro89.3%
Gemini 3.1 Pro85.9%
GPT-5.584.4%
GPT-5.482.7%
Claude Opus 4.779.3%

この表はOpenAI公式の発表資料に載っていた比較で、発表時点の値です。上位モデルは80%台後半から90%台に届いています。

さらに、第三者が集計している公開リーダーボードでは、2026年7月時点で58モデルが評価済みとされています。そこでの首位は92.2%、2位が91.2%、3位が90.8%。上位3つが1.4ポイント以内に固まっていて、フロンティア級のモデルにとっては飽和が近い状態です。

物差しとしての寿命が見えてきた、とも言えます。

数字の推移をまとめると、こうなります。

時期上位帯のスコア状況
公開当初十数%台ブラウジング無しではほぼ解けない
GPT-5.5発表時84〜90%Pro系が90%に到達
2026年7月時点の公開集計90〜92%上位3モデルが1.4pt差で密集

要するに、1年足らずで「難問セット」から「上位はほぼ解ける問題集」へ変わりました。


ブラウジング機能を切るとどうなるのか

答えはシンプルで、ほとんど解けません。

BrowseCompの問題は、外部のページを実際に読みに行かないと解けないよう設計されています。学習データの記憶だけで答えようとすると、それらしい固有名詞を並べた誤答になりがち。AIがそれっぽい嘘をつくこと(ハルシネーション)が、いちばん出やすい条件がそろっています。

だから、このベンチマークは「モデルの賢さ」と「道具の使いこなし」を分けて見せてくれます。

  • 検索クエリを何回も組み替えられるか
  • 外れページを早く見切れるか
  • 複数ページの情報を突き合わせられるか
  • 途中で方針転換できるか

この4つが揃って初めて点数になります。単に賢いだけのモデルでは足りません。


BrowseCompが測っていないもの

ここは強調しておきたいところです。高スコアを額面どおり受け取ると、痛い目を見ます。

まず、日常の調べ物の速さは測っていません。BrowseCompの問題は意図的にレアな情報を狙っていて、業務で発生する「一般的な情報を素早くまとめる」作業とは性質が違います。数百ページ渡り歩くのが得意なモデルが、5分で済ませたい要約作業でも最速とは限りません。

次に、出力の読みやすさ。正解は短い文字列なので、レポートとしての構成力や日本語の自然さはスコアに反映されません。

そして、コストと時間。探索型のタスクは、内部で何十回も検索と読み込みを繰り返します。当然、応答は遅く、API(他のソフトからAIを呼び出す窓口)の料金もかさみます。ベンチマークの表には、この所要時間と費用が載っていません。

測っている測っていない
見つけにくい情報への到達率一般的な調べ物のスピード
検索の組み立て直し出力文の読みやすさ
複数ソースの突き合わせ1問あたりの料金と所要時間
諦めずに掘る粘り日本語ソースへの強さ

この表の右側こそ、実務で効いてくる部分です。スコア表だけ見て導入を決めると、右側で必ずつまずきます。


オープンソース系エージェントとの差はどれくらいある?

かなり開いています。ただ、健闘している実装もあります。

公開されている集計では、オープンソースの調査エージェントが40%台後半を記録しています。並列で証拠を集める設計のエージェントが48.6%、最大600回のツール呼び出しと256Kのコンテキスト(AIが一度に扱える文字量の枠)を使う72Bのオープンモデル実装が47.1%といった水準です。

商用の最上位が90%台であることを考えると、倍近い差。

とはいえ、この差は「モデルの地力」だけで説明できるものではありません。ツールを何回叩けるか、コンテキスト枠がどれだけあるか、並列で探せるかといった土台の設計が大きく効きます。自前で構築する場合は、モデル選定よりも先にこの土台を整えるほうが伸びます。

ここまでの整理: BrowseCompは「レアな情報への到達率」を測る物差しで、上位は90%前後に達した。ただし速度・費用・日本語適性は測っていない。オープンソース実装との差は土台設計の差でもある。


日本語の調べ物にもBrowseCompは効く?

直結はしません。ここは正直なところです。

BrowseCompの問題は英語圏の情報を前提に組まれています。日本語で書かれた官公庁資料、業界誌の記事、企業のIR資料を掘る作業とは、必要な検索技術が違います。日本語圏は、そもそも一次情報がPDFに埋まっていたり、検索エンジンでの索引が弱かったりする。英語圏とは地形が違うわけです。

日本語の調査を主戦場にするなら、国内向けに設計された調査ツールの実力を別枠で確かめたほうが確実です。日本語検索に強いAI検索の実力を知りたい人は、Feloの完全ガイドを先に読んでおくと、この後の選び方の話が早く飲み込めます。

英語圏のスコアはあくまで参考値。そう割り切るのが安全です。


仕事のどこで効いてくる?

効く場面は、はっきりしています。「答えが1つに決まる調べ物」です。

具体的には、こんな作業。

  • 契約先の登記情報や親会社をたどる
  • 特定条件を満たす助成金の交付実績を探す
  • 過去の判例や規格番号を特定する
  • 廃番になった製品の後継型番を突き止める

いずれも正解が1つで、見つけるまでが面倒なタイプ。BrowseComp的な能力が素直に効きます。

逆に、市場動向のまとめや企画のたたき台づくりは、探索力より文章構成力が効く領域です。ここでモデルを選ぶなら別の基準を持つべき。社内文書の突き合わせや証跡チェックのような使い方を考えているなら、内部監査向けAIツールの整理記事のほうが判断材料になります。

業務タイプ探索力の重要度見るべき指標
事実の特定・裏取り探索系ベンチマーク
市場調査レポート作成長文の構成力・要約精度
定型の情報収集速度と1件あたりの費用
社内データの照合社内資料を読ませる仕組みの精度

つまり、探索力が本当に必要なのは4つのうち1つ。そこを見誤らないことが、費用対効果を左右します。


スコアを鵜呑みにしないためのチェックリスト

ベンチマークの数字を見たら、次の4点を確認してください。

  • いつ時点の数値か — 上位帯は数か月で10ポイント動きます
  • ブラウジング有効か — 条件が違えば比較になりません
  • 試行回数の扱い — 複数回試した中の最良値かどうか
  • 1問あたりの所要時間 — 表に載らないコストがここに隠れます

とくに3つ目。同じモデルでも、探索の試行回数を増やせばスコアは上がります。条件をそろえない比較には意味がありません。

数字を並べる前に、条件を並べる。これが鉄則です。


自分の業務で「ミニBrowseComp」を作る方法

いちばん確実なのは、自社版の小さな評価セットを作ることです。手順は難しくありません。

過去に自分が苦労して調べた案件を10件ほど選びます。答えが1つに決まるものだけ。それぞれについて、正解と、当時かかった時間を記録しておきます。あとは候補のAIに同じ問いを投げて、正答率と所要時間を比べるだけ。

10問あれば、公開スコアより役に立つ判断材料になります。

なぜなら、あなたの業務で出てくる情報の偏りが反映されているから。英語圏のレア情報が得意でも、業界固有の日本語資料を掘れないモデルは、この10問で落ちます。

評価の枠組みを自分で持つ、という発想は生成AI全般に共通します。画像領域でも同じで、ComfyUIとStable Diffusionの比較記事で扱った「自分の用途で試して決める」という考え方は、そのままここにも当てはまります。


探索型AIを選ぶときの現実的な順番

順番を間違えると、高いだけのモデルに払い続けることになります。

第1に、用途を「答えが1つに決まるか」で切り分ける。決まらないなら探索力は主要な選定軸になりません。

第2に、日本語ソースの比率を確認する。国内資料が中心なら、英語圏のスコアより実地テストを優先します。

第3に、1件あたりの費用と待ち時間を測る。探索が深いモデルほど遅く、高い。ここを見ずに契約すると、月末の請求で驚きます。

第4に、既存の作業フローに乗るかを見る。どれだけ賢くても、コピペ地獄が残るなら定着しません。

主要な対話型AIの守備範囲を横並びで確認したいなら、Meta AIのガイド記事のように1つずつ実像を押さえていくのが結局は近道です。


AI PICKS編集部の判定

BrowseCompは、AIの「調べる力」を測る物差しとしては圧倒的によくできています。答えを先に決めて問いを逆算する設計、短い正解による機械的な採点、そして高い難易度。この3つを同時に満たしたベンチマークは多くありません。1,266問という規模も、偶然で点が動きにくい水準です。

ただし、実務の道具選びに直結する指標かというと、微妙です。上位モデルが90%前後で密集した今、この数字で商用モデルを選び分けるのは正直イマイチ。1.4ポイントの差は、あなたの業務では体感できません。

それより、日本語資料への強さと1件あたりの待ち時間を見るべきです。ここは公開スコアに一切載っていません。

編集部の結論はこうです。BrowseCompは「ブラウジング機能が実装として成立しているか」の足切りに使う。そのうえで、自社の過去案件10件でモデルを競わせる。この二段構えが、いま取れるいちばん確実な選び方です。ベンチマークは入口、決めるのは自分の10問。


よくある質問(FAQ)

Q. BrowseCompは誰でも試せますか?

問題セットと評価の仕組みは公開されています。自分でモデルを動かして採点する形になるため、対象モデル側のAPI利用料は別途かかります。手軽に眺めたいだけなら、公開されているスコア一覧を見るだけでも十分です。

Q. 問題数の1,266という規模は十分ですか?

事実確認型のベンチマークとしては十分な規模です。数十問だと運の要素が大きくなりますが、1,000問を超えると偶然での上下がならされます。ただし問題の分野に偏りがある可能性は残るので、分野別の内訳も確認できるなら見ておくべきです。

Q. スコアが90%を超えたら、もうAIに調べ物を丸投げしていいですか?

まだ早いです。10%は外すという意味であり、しかも外したときにAIは自信満々で答えます。重要な意思決定に使う情報は、出典URLをたどって人が確認する運用を残してください。

Q. 日本語のモデルはBrowseCompに出てきますか?

公開されている集計には国内発のモデルが目立って並んでいるわけではありません。問題文が英語中心である以上、日本語特化のモデルには不利な土俵です。国内向けの実力は、別途自前でテストするのが確実です。

Q. ブラウジングを使わないモデルのスコアはどれくらいですか?

大きく落ちます。BrowseCompは外部ページを読みに行かないと解けない設計なので、記憶だけで答える条件では正答率が一桁台まで下がる問題も含まれます。ここが従来型の知識テストとの最大の違いです。

Q. 似たベンチマークとの使い分けは?

ツール操作全般の巧拙を見る評価や、対話タスクの完遂率を見る評価とは目的が違います。BrowseCompは「探して特定する」一点に絞った物差しです。エージェント全体の実力を見るなら、複数の評価を横に並べて読む必要があります。

Q. スコアの更新はどれくらいの頻度で追うべきですか?

四半期に一度で十分です。上位帯は密集していて、月単位で追っても意思決定は変わりません。それより、自社の10問セットを半年に一度回し直すほうが得られるものが大きいです。


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次に読むならこれ。日本語の調べ物でAIをどこまで使えるかを具体的に知りたいなら、Feloの完全ガイドです。BrowseCompが測っていない「日本語ソースへの強さ」を、実際の機能ベースで確認できます。

各ツールの公式サイト(一次情報)

料金・機能・対応範囲は各社公式が一次情報です。本記事は公開時点の検証に基づきますが、最新かつ正確な条件は必ず各公式ページで確認してください。