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LiveCodeBenchとは?AIコーディング性能の見方と最新スコア (2026年版)
この記事のポイント LiveCodeBenchは、競技プログラミングの「新しく出た問題」だけでAIのコード生成力を測るベンチマークです。 2026年7月時点の上位は90%台に到達していますが、集計元によって首位のモデル名が食い違います。 スコアを比べるときは、バージョン(v5 / v6)と対象期間をそろえないと意味がありません。 エージェント型のコーディング作業の実力とは別物、という点が最大の落とし穴です。
「LiveCodeBenchで91点」と書かれていても、それが自分の仕事に効く数字なのかは分かりませんよね。同じベンチマーク名なのに、サイトによって1位のモデルが違うことすらあります。答えを先に言うと、比較する前にバージョンと期間をそろえる。これだけで9割の混乱は消えます。
このページでは、指標の中身と、実務でどう読むかを分けて整理します。
LiveCodeBenchとは何を測る指標なのか

LiveCodeBenchとは、競技プログラミングのコンテストから継続的に集めた問題を使い、AIモデルのコード生成能力を測るベンチマークです。書かれたコードを実際に実行し、テストケースを通るかどうかで採点します。
ポイントは「Live」の部分。問題を固定せず、公開日で区切って新しいものを足していきます。これによって、モデルが学習データの中で答えを見たことがある状態——いわゆる汚染(コンタミネーション)——を避けやすくなります。
MMLUのような選択式ではありません。動くコードを書けたかどうか、機械が判定する。ここが説得力の源です。
一方で、測っているのは競技プログラミング。業務のコードとは性質が違います。この距離感は後半で詳しく扱います。
なぜ「新作問題だけ」で測る必要があるのか

既存のベンチマークが抱える最大の問題は、問題と解答がネット上に大量に転がっていることです。モデルは学習中にそれを読んでいる可能性があります。
例えば有名な問題集で満点近くを出しても、それは「解いた」のか「覚えていた」のか区別がつきません。テスト前に答案を配っているようなもの。
LiveCodeBenchは公開日でフィルタをかけます。あるモデルのリリース日より後に出題された問題だけを使えば、暗記の影響をかなり削れます。実際、モデルのリリース時期と問題の公開時期をそろえた比較が推奨されています。
| 評価方式 | 汚染リスク | 実行検証 | 更新頻度 |
|---|---|---|---|
| 固定の問題集ベンチ | 高い | あり/なし混在 | 低い(版が固定) |
| 選択式の知識テスト | 高い | なし | 低い |
| LiveCodeBench | 低め(期間フィルタで制御) | あり(テスト実行) | 継続的に追加 |
つまり、数字の信頼性を「問題の新しさ」で担保する設計です。
2026年7月時点のスコアはどうなっている?

最新の集計を見ると、上位帯は90%前後の高得点に達しています。ただし集計主体によって首位が異なります。
ある比較サイトの2026年7月27日時点の集計では、Gemini 3 Pro Previewが91.7でトップに立ち、評価済みモデルは194件に達しています。別の集計(BenchLMの2026年7月更新)では、Qwen3.7 Maxが91.6%で首位。さらに別のリーダーボードでは、DeepSeek系の上位モデルが0.935というスコアで並びます。
食い違う理由ははっきりしています。バージョンも期間も採点方式も違うから。
| 集計元の傾向 | 首位付近のスコア | 表記の形式 |
|---|---|---|
| 比較サイト系(2026年7月27日時点) | 91.7 | 100点満点 |
| BenchLM系(2026年7月更新) | 91.6% | パーセント |
| 別リーダーボード | 0.935 | 0〜1の小数 |
表記が0.935と91.7では、そもそも土俵が違うと分かります。数字だけを切り出して並べるのは危険です。
中位帯にも目を向けると、オープンモデルの層の厚さが見えてきます。29.0前後にNVIDIAのNemotron系、28.8にMeta Llama 3.3 70B InstructとAlibaba Qwen3 32B、28.7にCohere Command A、28.0にQwen3 14Bが並びます。トップ層とは差がありますが、価格を見ると話が変わります。
同じ名前なのにスコアが違うのはなぜ?

答えは、比較条件が7つほどバラけているからです。
- リリース時期と問題の公開期間(どこからどこまでの問題を使ったか)
- バージョン(v5 / v6で対象範囲が違う)
- 採点指標(Pass@1か、思考過程込みのPass@1-COTか)
- サンプリング回数と温度、そして実行ポリシー
BenchLMの整理では、v5・v6・Pass@1-COTの行は別レーンとして扱われ、条件が明記されていない行は期間がバラバラの可能性があると注記されています。つまり、公開されている表の中ですら混在している。
ここが実務で一番効く知識です。誰かが「AはBより強い」と主張していたら、その2つが同じレーンにいるかを先に確認してください。
ここまでの整理: LiveCodeBenchは実行検証つきで汚染に強い良い指標。ただし数字は条件依存で、表記も0〜1とパーセントが混在する。単体のスコアではなく「条件つきのスコア」として読むこと。
v5とv6は何が違うのか
バージョンは、収録している問題の期間を区切る単位だと考えると分かりやすいです。v6のほうが新しい期間の問題を含みます。
新しいモデルを評価するときは、そのモデルのリリース後に公開された問題だけを切り出すのが筋のいいやり方。実際、2026年6月に行われたある検証では、v6のセットから2026年1月〜6月公開の問題に絞り、両モデルが同じ「汚染なし」の条件で戦う形が取られました。
| 比較の軸 | そろえないと起きること |
|---|---|
| バージョン(v5/v6) | 難易度と問題傾向が変わりスコアが数ポイント動く |
| 期間フィルタ | 古いモデルに有利/不利が発生する |
| Pass@1とPass@1-COT | 思考を出させる分、後者が高く出やすい |
| サンプリング回数 | 回数が多いほど当たりやすく、見かけの点が上がる |
要するに、バージョン名だけでは足りません。期間と指標もセットで確認します。
Pass@1とPass@1-COTはどちらを見るべき?
Pass@1は、1回の生成で正解できた割合です。COT付きは、思考の手順を書かせたうえでの正答率を指します。
実務で参考にするなら、自分の使い方に近いほうを選びます。エディタでサッと補完させる用途ならPass@1に近い。じっくり考えさせてから書かせるなら、COT側の数字が実感に合います。
注意点はコスト。考えさせるほど出力が伸び、料金と待ち時間が増えます。ベンチマークの世界では0.1ポイントの差が話題になりますが、財布の中では数十パーセントの差になることも。
数字を上げる設定と、日々使って気持ちいい設定は一致しません。
実行時間とコストも指標に含まれる
見落とされがちですが、LiveCodeBenchの周辺には評価コストと所要時間の集計もあります。モデルの入出力トークン単価と使用量から算出した「評価1回あたりの費用」、そしてタスクあたりの平均秒数です。
これは実務の判断材料として、正答率より効くことがあります。
先ほどの中位帯を価格と並べてみます。単価は100万トークンあたりの入力/出力で表記されています。
| モデル | 入力単価 | 出力単価 | スコア |
|---|---|---|---|
| Llama 3.3 Nemotron Super 49B V1.5 | $0.000 | $0.000 | 29.0 |
| Llama 3.3 70B Instruct | $0.100 | $0.320 | 28.8 |
| Qwen3 32B | $0.080 | $0.280 | 28.8 |
| Command A | $2.500 | $10.000 | 28.7 |
| Qwen3 14B | $0.080 | $0.200 | 28.0 |
ほぼ同じスコア帯で、出力単価が$0.20と$10.00。この差は50倍です。スコアだけを見て選ぶと、財務的にはかなり微妙な判断になります。
競技プログラミングの点数は実務に効く?
正直、そのままでは効きません。ここは冷静に見るべきところです。
競技プログラミングの問題は、仕様が明確で、入出力が定義され、正解が一意に決まります。業務のコードはその逆。仕様は曖昧で、既存コードとの整合を取る必要があり、正解は複数あります。
別のベンチマークではその差がはっきり出ます。総合82.4のモデルがコーディング83.9を記録する一方、エージェント型のコーディング(実際にファイルを触って作業を進める形式)は65.6。別のモデルではコーディング86.0に対しエージェント46.9まで落ちます。
同じ「コードが書ける」でも、単発の問題を解く力と、リポジトリの中で作業を進める力は別物。
社内の業務にAIを組み込む前提で選ぶなら、この違いを踏まえた選定が要ります。業務プロセスにAIを入れる観点は内部監査業務のAIツール活用の記事で、実務側の視点から整理しています。
スコアを実際の選定にどう使うか
使い道は3つに絞られます。それ以外の用途では、たぶん判断を誤ります。
- 足切りに使う。極端に低いモデルを候補から外す
- 世代交代の検知に使う。前バージョンから大きく伸びたら試す価値あり
- 価格対性能の軸で見る。同スコア帯なら安いほうを選ぶ
逆に、上位モデル同士を0.1ポイント差で選ぶ材料には向きません。誤差と条件差に埋もれます。
| 目的 | LiveCodeBenchの有用度 | 代わりに見るもの |
|---|---|---|
| 候補の足切り | 高い | — |
| アルゴリズム実装力の比較 | 高い | — |
| リポジトリ改修の実力 | 低い | エージェント型のコーディング評価 |
| 長文の仕様理解 | 低い | コンテキスト長と長文系の評価 |
| 日本語での指示追従 | 低い | 実タスクでの試用 |
比較の枠組みを持っておくと、新しいモデルが出るたびに振り回されずに済みます。ツール比較の考え方そのものはAIイラスト生成ツールの比較でも同じ構造を使っていて、指標と用途を分ける発想は分野が変わっても通用します。
自分の環境で測り直すべきケース
公開スコアで足りるのは、候補を3つくらいまで絞る段階まで。そこから先は自前の評価に切り替えたほうが早いです。
理由は単純で、あなたの仕事の問題はLiveCodeBenchに入っていないからです。
自前評価の作り方は、難しく考えなくて構いません。
- 直近3か月で実際にAIに投げたタスクを20件ほど集める
- 期待する出力を人が書いておく
- 候補モデルに同じ指示を投げ、合否を数える
- 所要時間と料金も記録する
20件でも傾向は出ます。100件あれば十分。ローカル環境での比較検証という点ではComfyUIとStable Diffusionの違いの記事で扱っている「自分の環境で回して確かめる」姿勢がそのまま応用できます。
情報の鮮度をどう保つか
リーダーボードは動きます。194件が評価済みという規模で、新しいモデルが出るたびに順位が変わる。半年前のスコアを根拠にした資料は、もう古い可能性が高いです。
追いかけ方は2つ。
公式のリーダーボードを直接見るか、AI検索ツールで定期的に確認するか。後者なら日本語で聞けるFeloのようなツールが手軽です。出典URLを併記してくれるので、一次情報にたどり着きやすい。
社内資料に載せるなら、必ず「2026年7月時点」のように日付を添えてください。日付のないスコアは、半年後に誰かを誤らせます。
各社のAI戦略の動きを掴んでおくのも役に立ちます。大手の動向はMeta AIの現在地にまとめてあります。
AI PICKS編集部の判定
LiveCodeBenchは、コード生成ベンチマークの中では圧倒的に信頼できる部類です。実行して正誤を判定する仕組みと、公開日で汚染を切り離す設計。この2点で、選択式のテストとは説得力が違います。足切りの道具としては一択でしょう。
ただし、順位表をそのまま「AIコーディング力ランキング」として読むのは正直イマイチです。理由は本文で挙げた通り、集計元によって首位が入れ替わり、表記も0.935と91.7が混在するため。同じレーンに乗っていないものを並べても意味がありません。
そして最大の注意点。競技プログラミングの点数と、リポジトリの中で作業を進める力は連動しません。総合の高いモデルがエージェント型の評価で46.9まで落ちる例が実在します。日常の開発補助を選ぶなら、この指標だけでは足りない。
使い方の結論はこうです。候補を絞るまではLiveCodeBench、そこから先は自分の20件で決める。これが一番速くて外れません。
よくある質問(FAQ)
Q. LiveCodeBenchのスコアは何点あれば十分ですか
用途によります。アルゴリズム的な実装を任せるなら上位帯(90前後)が安心ですが、定型のコード補完なら中位帯でも実用に耐えます。むしろ価格との釣り合いを見てください。同スコア帯で出力単価に50倍の開きがある例もあります。
Q. HumanEvalとは何が違いますか
HumanEvalは固定された問題集で、学習データに含まれている可能性が指摘されてきました。LiveCodeBenchは問題を継続的に追加し、公開日で期間を区切れる点が違います。汚染への耐性という一点で、後者のほうが設計が新しいです。
Q. なぜサイトによって1位のモデルが違うのですか
バージョン(v5/v6)、対象期間、採点指標(Pass@1かPass@1-COTか)、サンプリング回数、温度、実行ポリシーが異なるためです。条件が明記されていない集計行も存在します。比較するなら、まず条件がそろっているかを確認してください。
Q. オープンソースのモデルでも上位に入れますか
入っています。2026年7月時点の集計では、DeepSeek系やAlibaba Qwen系がトップ争いに顔を出します。中位帯でもNVIDIAやMeta、Alibabaのモデルが並び、無料単価のものもあります。商用APIだけが強い時代ではありません。
Q. 日本語でコードの指示を出す場合も参考になりますか
部分的には参考になりますが、そのままは当てはまりません。問題文は英語で、日本語での指示理解は測っていないからです。日本語の指示が中心なら、自分の実タスクで数十件試すほうが確実です。
Q. エージェント型の開発ツールを選ぶときは何を見ればいいですか
エージェント型のコーディング評価を別途確認してください。単発のコード生成が高くても、ファイルを触って作業を進める力は大きく落ちる例があります。総合82.4でエージェント65.6、コーディング86.0でエージェント46.9といった開きが観測されています。
Q. 自社のコードでベンチマークを回しても大丈夫ですか
外部APIに社内コードを投げる場合は、データの取り扱い方針を確認してから進めてください。評価用にダミーの課題を作る、もしくは公開して問題ない部分だけを使うのが無難です。
Q. スコアはどのくらいの頻度で確認すべきですか
四半期に1度で十分です。ただし主要モデルの新版が出たタイミングでは、その都度確認する価値があります。194件規模の評価対象があり、順位は継続的に動いています。
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次に読むなら、内部監査業務のAIツール活用。ベンチマークの数字を実際の業務プロセスにどう落とすか、判断の順序が具体的に分かります。
各ツールの公式サイト(一次情報)
料金・機能・対応範囲は各社公式が一次情報です。本記事は公開時点の検証に基づきますが、最新かつ正確な条件は必ず各公式ページで確認してください。
- Claude — 公式サイト(AI PICKSの詳細)
- ChatGPT — 公式サイト(AI PICKSの詳細)
- Gemini — 公式サイト(AI PICKSの詳細)
