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Clearbitは今どうなった?料金と代替ツールの選び方 (2026年版)
この記事のポイント Clearbitは2023年12月にHubSpotへ買収され、単体製品としては姿を消しました。現在はBreeze Intelligenceという名前でHubSpotの中に組み込まれています。 料金は「クレジット100件で月$45前後+ HubSpotの有料プラン月$20〜」が下限。実質は月$65前後からです(2026年7月時点)。 中堅規模のチームだと月$1,000〜5,000に膨らむケースも珍しくありません。HubSpotを使っていない会社にとっては、正直おすすめしにくい選択肢になりました。
「Clearbitの公式サイトを開いたら料金ページが無くなっていた」——そこから調べ始めた人が、今いちばん多いはずです。答えは単純で、Clearbitはもう単体では買えません。HubSpotに吸収され、Breeze Intelligenceという別名で売られています。
つまり、比較対象は「Clearbit vs他社」ではなく「HubSpotごと乗るか、乗らないか」に変わりました。ここを取り違えると、見積もりが2桁ずれます。
Clearbitとは、そもそも何をするツールだったのか

Clearbitとは、メールアドレスや会社ドメインから企業情報・担当者情報を自動で補完する、B2B向けのデータ補完サービスです。営業リストの穴を機械が埋めてくれる道具、と考えると近いです。
たとえばフォームに [email protected] とだけ入力があったとき。そこから業種・従業員規模・所在地・技術スタックなどを引っ張ってきて、CRM(顧客管理システム)のレコードに自動で書き込みます。
営業側のうまみは、フォームの入力欄を減らせることでした。7項目聞いていたものを2項目に減らし、残りは裏で補完する。入力の手間が減れば、フォーム完了率は上がります。
この「エンリッチメント(データ補完)」という領域で、Clearbitは長く定番でした。過去形なのには理由があります。
HubSpotによる買収で何が変わった?

一言でいえば、独立したツールから、HubSpotの機能のひとつになりました。2023年12月に買収が完了し、その後Breeze Intelligenceへブランドが移っています。
変化を整理すると、こうなります。
買収前後で何がどう変わったかを並べます。
| 項目 | 買収前のClearbit | 現在(Breeze Intelligence) |
|---|---|---|
| 契約形態 | 単体で契約可能 | HubSpot契約が前提 |
| 料金ページ | 公開 | 単体では非公開 |
| 課金の考え方 | 月額プラン中心 | クレジット(従量)+プラン階層 |
| CRMの選択肢 | Salesforce等と自由に接続 | HubSpotに強く寄る |
| 無料枠 | あり | 単体の無料プランは廃止 |
つまり、道具としての性能ではなく「どこに置かれているか」が変わったわけです。データの中身そのものは、買収前から大きく劣化したわけではありません。問題は入口です。
Salesforceを使っている会社が、エンリッチメントのためだけにHubSpotを契約する。この構図が現実的かどうかが、判断の分かれ目になります。
Breeze Intelligenceの料金はいくら?

公開されている下限は、年契約でクレジット100件あたり月$45前後です。ただしこれは「上乗せ分」で、土台となるHubSpotの有料プラン(月$20〜)が別に要ります。合わせて月$65前後、というのが2026年7月時点の実質的な最低ラインです。
クレジットは100件・1,000件・10,000件のパック単位で売られます。1,000件以上の価格は公開されていません。ここが厄介なところ。
料金の考え方を段階で並べます。
| 想定規模 | 必要なもの | 月額の目安 |
|---|---|---|
| 個人・検証 | HubSpot有料プラン+ 100クレジット | $65前後 |
| 小規模チーム | 上位プラン+ 1,000クレジット級 | 数百ドル規模 |
| 中堅チーム | Professional以上+大量クレジット | $1,000〜5,000 |
| 大企業 | Enterprise +年間契約 | 年$30,000超も |
つまり、「月$45のツール」として予算を組むと確実に足が出ます。HubSpot公式の料金ページで自社が必要なプラン階層を先に確定させてから、クレジット代を足す。この順番でしか正確な数字は出ません。
正確な見積もりが欲しいなら、営業担当に問い合わせる以外の道は今のところありません。
クレジット制のどこが落とし穴になるのか

クレジット制は、使った分だけ払う仕組みです。公平に聞こえます。実際は読みにくい。
読みにくくなる理由は3つあります。
- 1レコードにつき何クレジット消費するかが、データの種類で変わる
- 補完に失敗した問い合わせでも消費される場合がある
- 月の流入が急増すると、そのまま請求も急増する
キャンペーンで一時的にフォーム流入が10倍になった月を想像してください。喜ばしい話なのに、請求書を見て青ざめる。この構造は、予算を月次で固めたい会社と相性が悪いです。
対策は地味ですが効きます。エンリッチメントを全件に走らせず、条件で絞ること。フリーメールのドメインを除外する、特定の業種だけ補完する、といった前段のフィルタです。ここを設計せずに導入すると、コストの半分がゴミデータの補完に消えます。
社内のデータ処理をどこまで自動化するかという話は、内部監査AIツールの整理で扱っている「チェック範囲を絞る」考え方と地続きです。全件やるのがいちばん高くつく、という点で共通しています。
実際に何ができるのか、機能を整理する
機能は大きく3つに分かれます。フォーム短縮、レコード補完、企業識別です。
主要機能とその効き所をまとめます。
| 機能 | 何をするか | 効きやすい場面 |
|---|---|---|
| データエンリッチメント | メール・ドメインから企業情報を補完 | 営業リストの品質改善 |
| フォーム短縮 | 入力欄を減らし裏で補完 | 資料請求・デモ申込 |
| 訪問企業の識別 | IPアドレスから企業を推定 | ABM(特定企業への集中営業) |
| スコアリング連携 | 補完データで優先度づけ | インサイドセールスの振り分け |
つまり、リードの「数」を増やす道具ではなく、既にあるリードの「解像度」を上げる道具です。ここを勘違いすると期待外れになります。
一方で、購買シグナル——その企業が今まさに検討モードに入っているか——の検知は単体では持ちません。競合の中にはここを主戦場にしている製品もあり、比較時の分かれ目になります。
日本企業のデータでも使えるのか?
正直、期待値は下げたほうがいいです。強いのは英語圏、特に米国のテック企業。日本の中小企業になると、業種も従業員数も空欄で返ってくることが増えます。
理由は元データの作り方にあります。公開Webページ、求人情報、SNSプロフィール、技術スタックの痕跡。こうした英語圏で拾いやすい情報を組み合わせて推定しています。日本語の企業サイトは構造も表記も揺れが大きく、機械的な抽出がそもそも難しい。
上場企業や外資系日本法人なら、そこそこ埋まります。従業員30人の地方の製造業は、ほぼ埋まりません。
日本国内向けの営業リストが主戦場なら、国産の企業データベースを併用するほうが現実的です。海外SaaS一本で押し切ろうとすると、補完率3割で「クレジットだけ減った」という結果になりがち。
海外発のツールがどこまで日本語環境に馴染むかという話は、Metaの生成AIの日本語対応をまとめた記事でも同じ壁が出てきます。UIの日本語化とデータの日本対応は、まったく別問題です。
ここまでの整理 ・Clearbitは単体では買えず、HubSpot契約が前提 ・実質の最低ラインは月$65前後、中堅チームなら月$1,000〜5,000 ・クレジット制は流入が増えると請求も増える ・日本の中小企業データは補完率が落ちる ここから先は「では誰が使うべきか」を詰めます。
向いている会社と、やめておいたほうがいい会社
判断は驚くほどシンプルです。HubSpotを既に本気で使っているかどうか。
向いているのは、次のような会社です。
- HubSpotをCRMの中心に据えて2年以上運用している
- 海外、特に北米の企業をターゲットにしている
- 月間のフォーム流入が数百件以上あり、手作業の補完が限界
逆に、次のどれかに当てはまるならやめておくべきです。
- Salesforceや他のCRMが社内標準になっている
- 営業対象が国内の中小企業中心
- 月の予算が数万円で固定されている
特に2番目は致命的です。データが埋まらないツールに、埋まらなかった分のクレジットまで払う。これは投資ではなく漏水です。
代替ツールはどう選べばいい?
軸は3つだけで足ります。CRMの相性、データの地域、課金の読みやすさ。
代替候補を役割で分けると見通しが良くなります。
| タイプ | 得意なこと | 検討したい会社 |
|---|---|---|
| 訪問企業の識別型 | 自社サイトに来た企業を特定 | 既に流入があるBtoB |
| 連絡先取得型 | 担当者のメール・役職を取得 | アウトバウンド主体 |
| 国内データベース型 | 日本企業の基本情報が厚い | 国内営業が中心 |
| CRM内蔵型 | 契約済みツールの標準機能 | 追加コストを抑えたい |
つまり、「Clearbitの代わり」を1本で探すのではなく、自社の穴がどこかを先に決めるのが近道です。訪問企業を知りたいのか、担当者名が欲しいのか。ここが混ざったまま比較表を作ると、どれも中途半端に見えてきます。
候補を洗い出す段階では、AI検索を使うと下調べが速く終わります。日本語の検索精度が高いツールについてはFelo(フェロー)の使い方ガイドにまとめてあり、海外SaaSの一次情報を日本語で追うときに重宝します。
導入前に必ず確認する5つのこと
契約前の30分で、後の1年が決まります。
- 補完率のテスト:自社の既存リード100件を渡して、何%埋まるか実測する
- クレジットの消費単位:1レコード何クレジットか、失敗時も消費するか
- 解約時のデータ:補完済みデータを持ち出せるか、削除義務があるか
- CRMの前提:必要なHubSpotプラン階層を先に確定させる
- 上限設定:月あたりの消費上限をシステム側で止められるか
このうち1番目を飛ばす会社が多すぎます。ベンダーのデモは、当然ながらデータが揃っている企業で行われます。自社のリードで試さないかぎり、本当の補完率は分かりません。
無料のトライアルが用意されていない場合は、最小パックで1か月だけ回して判断する。それでも数万円の授業料で済みます。
個人データを扱ううえで気をつけたいこと
企業情報の補完と、個人情報の取得は、法的な扱いが違います。日本の個人情報保護法では、氏名やメールアドレスと結びついた属性情報は個人データにあたります。
第三者から個人データを取得する場合、取得元と取得経緯の確認・記録が求められます。海外ベンダーを使う場合は、越境移転の同意や体制整備の論点も乗ってきます。
実務としては、プライバシーポリシーに「第三者から情報を取得し補完する場合がある」旨を明記しておくのが最低ライン。ここを空欄にしたまま運用している会社、かなり多いです。
法務の判断を仰ぐべき領域なので、この記事の内容だけで決めないでください。ツールの機能より、社内の合意形成のほうが時間がかかります。
AI PICKS編集部の判定
HubSpotを本気で使っている会社なら検討する価値あり。それ以外には一択で「見送り」です。
データの品質そのものは、買収後も競争力を保っています。フォームを2項目に減らして完了率を上げる効果も、実際に数字で出るタイプの施策です。道具として悪いわけではありません。
問題は値付けと囲い込みです。かつて単体で契約できた時代と比べ、入口のハードルが跳ね上がりました。エンリッチメントのためにCRMごと乗り換える——この判断が成立する会社は、そう多くないはずです。
さらに日本市場では、国内中小企業の補完率という構造的な弱点があります。ターゲットが国内中心なら、支払ったクレジットの半分が空振りに終わる可能性を織り込む必要があります。正直、コスパは微妙です。
結論。既にHubSpotが社内標準で、かつ海外案件を追っているなら、最小パックから試す価値はあります。そうでないなら、国内データベースと訪問企業の識別ツールを別々に組み合わせたほうが、安く確実に目的を果たせます。
よくある質問(FAQ)
Q. Clearbitはもう使えないのですか?
サービス自体は動いていますが、単体での新規契約はできません。HubSpotの契約に付随するBreeze Intelligenceとして利用する形になります。既存契約者は順次移行が案内されています。
Q. Clearbitの無料プランはまだありますか?
単体の無料プランは廃止されました。HubSpotの無料CRMは引き続き使えますが、エンリッチメント機能は有料プランとクレジットの購入が前提です。
Q. 最低いくらから始められますか?
2026年7月時点で、HubSpotの有料プラン月$20〜に、クレジット100件分の月$45前後を足した月$65前後が下限です。年契約が前提の価格なので、月契約だとさらに上がります。
Q. APIだけ使うことはできますか?
旧Clearbit単体のAPIは新規提供が終了しています。現在はHubSpotの機能として組み込まれているため、API利用もHubSpot契約の枠内での話になります。開発者向けに独立して使う用途には向きません。
Q. 日本の会社の情報はどれくらい埋まりますか?
上場企業や外資系日本法人は比較的埋まりますが、従業員数十人規模の国内企業は空欄が目立ちます。契約前に自社の既存リードで補完率を実測してください。ここを省略すると判断を誤ります。
Q. 乗り換えるとしたら何が大変ですか?
CRMごと移す話になるので、負荷は小さくありません。カスタムプロパティの対応表づくり、既存の自動化ワークフローの再構築、履歴データの移行。この3つで大半の工数が消えます。3か月は見ておいたほうが安全です。
Q. 購買シグナルの検知はできますか?
Breeze Intelligence単体では対応していません。「今まさに検討している企業」を見つけたいなら、インテントデータを専門に扱う製品を別に検討することになります。
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社内向けの資料づくりで図版が必要になったときは、AIイラスト生成ツールの比較が下準備の時間を減らしてくれます。自前の環境で画像を回したい人はComfyUIとStable Diffusionの違いも併せてどうぞ。
次に読むならこれ。 社内のデータを機械にどこまで任せるかで迷っているなら、内部監査AIツールの整理が次の一本です。チェック対象を絞る設計思想は、そのままエンリッチメントのコスト管理に使えます。
