Regional Prompterの使い方 領域分割で複数人物を描き分ける完全ガイド

Regional Prompterの使い方領域分割で複数人物を描き分ける完全ガイド

二人並んだキャラを描かせたら、髪色も服も混ざってグチャグチャになった。画像生成AIを触った人なら一度は通る壁です。左の子に青い髪、右の子に赤い服、と頭では決めているのに、AIは全部ごちゃ混ぜにしてくる。

その解決策が「Regional Prompter」です。画面を左右や上下に区切って、それぞれの区画に別々の指示文を割り当てられます。無料。しかも設定はチェックひとつと区切り文字だけ。

この記事のポイント

  • Regional Prompterは、Stable Diffusionの画面を領域ごとに分けて、区画ごとに別のプロンプトを反映させる無料の拡張機能です
  • 「BREAK」という区切り文字でプロンプトを分けるだけで、複数人物を描き分けられます
  • 分割モードはMatrix(縦横分割)・Mask(塗り分け)・Prompt(キーワード連動)の3種類
  • 導入はGitHubのURLを貼るだけ。追加料金は一切かかりません

Regional Prompterとは、画面を区切って指示を分ける拡張機能です

Regional Prompterの使い方 領域分割で複数人物を描き分ける完全ガイド 図2

Regional Prompterとは、Stable Diffusionの生成画面(キャンバス)を複数の領域に分割し、その領域ごとに違うプロンプト(AIへの指示文)を適用できる拡張機能です。開発者はhako-mikan氏。AIアート界隈で2023年に登場し、今も更新が続いています。

ふつうのStable Diffusionは、書いた指示文を画像全体に均等にかけます。だから「青髪の子と赤髪の子」と書くと、両方の特徴が1人に混ざりがち。

Regional Prompterは、ここに「場所」の概念を持ち込みます。左半分にはこの指示、右半分にはこの指示、と住み分けさせるわけです。構図の主導権が、AIから自分の手に移ります。

画像生成そのものが初めてなら、画像生成AIツールのおすすめ比較を先に眺めておくと、この後の話がすっと入ってきます。


Regional Prompterで何ができる?何が変わる?

Regional Prompterの使い方 領域分割で複数人物を描き分ける完全ガイド 図3

一番効くのは「複数人物の描き分け」です。左の女性は緑のツインテール、右の女性は赤いブラウス、みたいに、キャラごとの見た目を固定できます。

用途はそれだけではありません。

  • 背景と人物でスタイルを変える(背景は油絵風、人物はアニメ調)
  • 上下で場面を分ける(上は空、下は街並み)
  • 1枚の中で複数の色調を共存させる

つまり、これまで「運ゲー」だった構図コントロールが、設計図を引く作業に変わります。狙った位置に、狙ったものを置く。ここが最大の価値です。

次は、実際に自分の環境へ入れる手順を見ていきます。


インストール方法はURLを貼るだけ

Regional Prompterの使い方 領域分割で複数人物を描き分ける完全ガイド 図4

導入はとても速い。Stable Diffusion Web UI(AUTOMATIC1111版)が動いていれば、数分で終わります。

  1. Web UIを開き、上部タブの「Extensions」をクリック
  2. 「Install from URL」を選ぶ
  3. URL欄に配布元のGitHubアドレスを入力
  4. 「Install」ボタンを押す
  5. 「Installed」タブから「Apply and restart UI」で再起動

入力するURLは、hako-mikan氏の公式リポジトリ(github.com/hako-mikan/sd-webui-regional-prompter)です。公式READMEには日本語の説明も用意されているので、英語が苦手でも迷いにくい設計。

再起動後、txt2imgの画面下に「Regional Prompter」の欄が増えていれば成功です。そこの「Active」にチェックを入れると機能がオンになります。このチェックの入れ忘れが、初回でつまずく最大の原因です。

Web UIの環境構築からつまずいている場合は、ComfyUIとStable Diffusionの違いで自分に合う土台を選び直すのも手です。

導入できたら、いよいよ核心のBREAK構文に進みます。


基本の使い方は「BREAK」で区切るだけ

Regional Prompterの使い方 領域分割で複数人物を描き分ける完全ガイド 図5

Regional Prompterの心臓部は、たった一語。「BREAK」です。プロンプトの中にこれを挟むと、そこで領域が切り替わります。

公式が例に挙げているプロンプトがこちら。

green hair twintail BREAK red blouse BREAK blue skirt

これは画面を3つに分け、上から順に「緑のツインテール」「赤いブラウス」「青いスカート」を割り当てる指示です。BREAKの前後で、AIの見る指示文が切り替わると考えてください。

下の表は、この構文がどう対応するかを整理したものです。

プロンプトの区画割り当てられる領域反映される内容
green hair twintail1番目の領域髪型・髪色
red blouse2番目の領域上半身の服
blue skirt3番目の領域下半身の服

つまり、BREAKの数だけ領域が増え、書いた順に上(または左)から割り当たっていく、という素直なルールです。

ひとつ注意。BREAKは半角の大文字でないと効きません。小文字の「break」やスペルミスは、ただの単語として無視されます。ここも初心者がハマりやすい落とし穴。

区切り方がわかったら、次はその領域の形と比率を決める設定を見ます。


3つの分割モードを使い分ける

Regional Prompterには大きく3つの分割の考え方があります。目的によって選び分けると、狙い通りに近づきます。

以下は各モードの性格をまとめたものです。

モード分け方向いている用途
Matrix縦横の比率で機械的に分割左右・上下に並ぶ複数人物
Mask自分で領域を塗って指定変形した配置や自由な構図
Promptキーワードごとに領域を推定手動指定を減らしたい人

一番よく使われ、最初に覚えるべきなのがMatrixモードです。画面を縦や横に、指定した比率でスパッと分けます。海外レビューでも「column mode(縦割り)は完成度が高く、実用段階にある」と評価されています。

Maskモードは、円や自由な形で領域を塗り分けたいときに重宝します。Promptモードは、キーワードに応じて領域を自動で割り当てる仕組みで、細かい設定を省きたい人向け。

まずはMatrixで慣れてから、必要になったらMaskへ、という順番が挫折しにくいです。

続いて、そのMatrixで比率をどう指定するかを具体的に見ます。


Matrixモードの比率指定(Divide Ratio)

Matrixモードでは「Divide Ratio」という欄に、領域の比率を数字で書きます。ここが少しだけ理屈っぽいので、丁寧に。

たとえば横に2人を均等に並べたいなら、比率は 1,1 と書きます。左右を1対1で割る、という意味です。左を広く取りたいなら 2,1。左が2、右が1の幅になります。

縦割りか横割りかは「Main Splitting」の設定で決めます。Columns(縦の線で左右に分割)かRows(横の線で上下に分割)かを選ぶイメージ。

数字と実際の分割の対応を、下にまとめます。

Divide Ratioの値分割イメージ使いどころ
1,1左右(または上下)を半分ずつ2人を対等に並べる
2,1手前を2、奥を1の比率主役を大きく見せたい
1,1,13等分3人・3要素の並列

設定に自信がないときは、Main Splittingの「visualize and make template」ボタンが助けになります。今の比率で画面がどう区切られるかを、色分けのプレビューで見せてくれる機能です。頭の中の設計図と、実際の分割線がズレていないかを、生成前に確認できます。

比率とプレビューが噛み合えば、あとは「Active」を入れて生成するだけ。ここまで来れば、複数人物の描き分けはほぼ自分の思い通りになります。

とはいえ、最初は思った通りにいかないもの。よくある失敗を先回りで潰しておきましょう。


よくある失敗とその直し方

Regional Prompterでつまずくパターンは、だいたい決まっています。原因と対処をセットで押さえておくと、無駄な生成を減らせます。

  • 領域が反映されない → Activeのチェック忘れ。まずここを疑う
  • 色が隣の領域に漏れる → 比率が構図と合っていない。Divide Ratioを見直す
  • BREAKが効かない → 小文字やスペルミス。半角大文字の「BREAK」に直す
  • 人数と領域がズレる → BREAKの数が領域数と合っていない。数を揃える

特に「色移り(color bleed)」は代表的な悩みです。左の子の青が右の子にもにじむ、あの現象。これは分割比率と、実際に描かせたい構図がズレているときに起きやすい。プレビューで領域を確認し、比率を微調整するのが基本の対処です。

もうひとつ効くのが、共通の指示を先頭に置くやり方。画質や画風のようにキャラ全員に共通する語は、最初のBREAKより前にまとめて書くと安定します。

ここまでの整理: Regional Prompterは「Active」「BREAK」「Divide Ratio」の3点が肝です。この3つが噛み合えば、複数人物の描き分けは狙って再現できます。失敗のほとんどは、このどれかの設定ミスに帰着します。

原因の切り分けができるようになったら、他の似たツールとの違いも知っておくと選択肢が広がります。


Latent CoupleやComfyUIとの違いは?

領域ごとに指示を分ける手法は、Regional Prompterだけではありません。よく比較されるのが「Latent Couple」という古参の拡張と、ノードを繋いで組む「ComfyUI」です。

海外の利用者レビューでは「Regional PrompterはLatent Coupleより明らかに扱いやすく、思った通りに動く」という声が目立ちます。設定の直感性で一歩リードしている、というのが大方の見方です。

三者の性格を並べてみます。

項目Regional PrompterLatent CoupleComfyUI
導入の手軽さ高い(URL貼るだけ)低め(ノード構築が必要)
領域指定比率・塗り・キーワード座標指定が中心ノードで自由に設計
学習コスト低い高い
自由度中〜高非常に高い

ざっくり言えば、手軽さと自由度のバランスで選ぶならRegional Prompter、とことん作り込むならComfyUIです。両者は排他ではなく、ComfyUI側にも同種の領域指定ノードがあります。まずは手軽なRegional Prompterで感覚を掴み、物足りなくなったらComfyUIへ、という移行が現実的。

自分の制作スタイルがどちら寄りかは、ComfyUIとStable Diffusionの比較記事で判断材料が増えます。手持ちのツールを一度棚卸ししたいなら、AIツールの内部監査ガイドも参考になります。

道具の違いが見えたら、次は使う上で気になるお金とライセンスの話です。


料金はいくら?追加費用はかかる?

結論から言うと、Regional Prompter自体は完全無料です。オープンソースの拡張機能なので、ダウンロードにも利用にも一円もかかりません。ここは安心していい部分。

ただし「実質タダで動く」わけではない点は正直に書いておきます。Stable Diffusion Web UIを動かすには、それなりのGPUを積んだPC、またはクラウドのGPU環境が要ります。ローカルで動かすなら電気代とマシン代、クラウドなら時間課金。このあたりが隠れたコストです。

とはいえ、Regional Prompterという機能そのものへの支払いは発生しません。無料でここまで構図を制御できる拡張は貴重で、地味に手放せない存在になります。

お金の心配が消えたところで、商用利用のルールを確認しておきましょう。


商用利用・ライセンスは大丈夫?

ここは分けて考える必要があります。「拡張機能のライセンス」と「生成した画像のライセンス」は別物だからです。

Regional Prompterという拡張自体は、GitHubで公開されているオープンソースです。仕組みとして使うぶんには問題ありません。

一方で、生成した画像を商用利用できるかは、Regional Prompterではなく使っているモデル(チェックポイント)のライセンスで決まります。モデルによっては商用利用禁止だったり、条件付きだったりします。ここを混同すると後で痛い目を見ます。

画像を仕事で使うなら、必ずそのモデルの配布ページでライセンス条項を確認してください。Regional Prompterは「どう配置するか」を決める道具であって、「使っていいかどうか」を保証するものではない。この線引きは覚えておくと安全です。

権利周りが整理できたら、最後に「自分は使うべきか」を判断しましょう。


どんな人におすすめ?

向き不向きははっきりしています。

強くおすすめできる人

  • 複数キャラのイラストを、狙った配置で安定して描きたい人
  • 背景と人物で画風を変えたい人
  • Stable Diffusion Web UIをすでに使っている人

別の選択肢が向く人

  • ノードで一から作り込みたい上級者(ComfyUIが合う)
  • そもそもローカル環境を用意したくない人(クラウド型の画像生成が楽)

ローカル環境の構築がハードルなら、無理にここから始める必要はありません。手軽に画風の幅を試したい段階なら、画像生成AIツールのおすすめ比較で、より導入が軽いサービスから入るのも賢い選択です。日常的にAIを使い分ける発想を広げたいなら、Metaの生成AIガイドFeloの使い方も視野を広げてくれます。

判断材料が揃ったところで、細かい疑問をまとめて片付けます。


関連する比較・代替を見る

Regional Prompterと近い領域のツールや、土台となるソフトの比較はこちらから確認できます。


よくある質問(FAQ)

Q. Regional Prompterは無料ですか?

はい、拡張機能そのものは完全無料です。オープンソースで公開されており、利用に課金はありません。ただしStable Diffusionを動かすためのGPU環境(PCまたはクラウド)は別途必要です。

Q. BREAKが効かないのはなぜですか?

多くは表記ミスです。BREAKは半角の大文字でないと区切り文字として認識されません。「break」や全角のBREAKはただの単語として扱われます。あわせて「Active」のチェックが入っているかも確認してください。

Q. 3人以上を描き分けられますか?

できます。BREAKを2つ入れれば3領域、3つ入れれば4領域と、区切りの数だけ領域が増えます。Divide Ratioを 1,1,1 のように領域数に合わせて指定すれば、均等に3分割されます。

Q. 色が隣の領域ににじむのを防ぐには?

分割比率と実際の構図を合わせるのが基本です。「visualize and make template」で領域プレビューを確認し、Divide Ratioを微調整してください。共通の画質・画風の指示を先頭にまとめると、さらに安定します。

Q. ComfyUIでも同じことができますか?

できます。ComfyUIには領域ごとにプロンプトを割り当てるノードが用意されています。自由度は高い反面、ノードを組む手間がかかります。手軽さ重視ならRegional Prompter、作り込み重視ならComfyUIという使い分けが現実的です。

Q. 生成した画像は仕事で使えますか?

それはRegional Prompterではなく、使用するモデルのライセンス次第です。商用利用可否はモデル配布ページの条項で必ず確認してください。拡張機能自体は利用に制限を課しません。

Q. Latent Coupleとどちらがいいですか?

多くの利用者はRegional Prompterの方が扱いやすいと評価しています。設定が直感的で、意図通りに動きやすいためです。これから始めるならRegional Prompterを選んで問題ありません。


AI PICKS編集部の判定

Regional Prompterは、複数人物の描き分けという長年の悩みに、無料できっちり答えを出した拡張です。導入はURLを貼るだけ、操作はBREAKと比率の指定だけ。この手軽さで構図の主導権を取り戻せるのは、正直かなり重宝します。

弱点を挙げるなら、Stable Diffusion Web UIのローカル環境が前提になる点。GPUを積んだPCがない人には最初のハードルが高い。逆に言えば、すでにWeb UIを使っている人にとっては入れない理由がほぼありません。導入コストゼロで、失敗パターンも「Active忘れ」「BREAKの表記ミス」くらいに集約されていて、つまずいてもすぐ復帰できます。

作り込みの自由度ではComfyUIに軍配が上がりますが、学習コストと得られる結果のバランスでは、Regional Prompterが一枚上。「まず複数キャラを狙い通りに並べたい」なら、これが一択です。ノード構築に疲れたら乗り換える、くらいの気軽さで始めていい拡張だと見ています。

次に読むなら、土台選びで迷っている人向けにComfyUIとStable Diffusionの違いがおすすめです。自分の制作スタイルに合う環境が見えて、Regional Prompterを最大限に活かせます。